pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

読み終わったもの二冊

 あわよくば今日、図書館に返却したかったので。まず一冊目。

猿谷要著『ハワイ王朝最後の女王』文春新書

 こんな感じでタイトル書けばいいかしらん。

 読了後の感想・・・アメリカの植民地拡張政策のやりくちとか、小国の悲哀とか、日本も立地条件や諸事情が異なれば同じような運命が待っていたかも知れないと思うと、ちょいとホロりとしました。

 それにしても南北アメリカ大陸もそうだったけど、ハワイもヨーロッパからの伝染病には脆かったんですね。それにハワイ王朝の王族たちが短命なこと!!これでは継続的な政策を行う事は難しいです。優遇してきた白人たちに裏切られたような形での王政倒壊、共和制移行(共和政って寡頭政治であって民主主義政治という事ではない)。そののちのアメリカ合併。これがアメリカの北太平洋制海権確保につながった事を思うと、明治初期にハワイ王が日本の皇室との政略結婚を目論んだ事は卓見かも知れませんが、まぁまだ工業のコの字さえなかった日本に北太平洋制海権を維持するだけの実力はなく、日本が最終的に断ったのも無理はないです。

 ま、そもそも近海迎撃主義の日本海軍が北太平洋制海権なんて戦略、考えた事があったのだろうかと疑問ですが。アメリカと戦争する事すら想定していなかったんだもんなぁ・・・

 

 小林千草著『伊達政宗、最後の日々』講談社現代新書

 気にはなっていましたが読んでいなかったのです。なんかね。んで読んでみたら、これが文字通り伊達政宗が最後に江戸参勤し、将軍家光や家族と別れを交わす最後の日々を、当時の近習が残した記録から日本語学者の方が読み起こし、再現したものでした。

 死因は胃癌だったそうで、その症状、実は知らなかったんですよね。お腹が張って、食べ物を飲み下せなくなり、やせ細っていく。そんなお腹以外は骨川筋衛門状態でも、将軍や上使がお見えになったら正装し、居住まいを正し、折り目正しく対応するとか、涙脆くなる近習に冗談を言ったり励ましたり、殉死願いをする人々を生かすために自分が生きなければならないけれども、できないだろうと悲嘆に暮れたり。

 それだけでなく、徳川家康、秀忠から後継者の後見人を依頼されるほど認められた存在というのが、そっか、他の大名は身代が大きくなってからの二世三世か、豊臣政権下、徳川幕府下で大名になったものが多く、この時代まで自力で領地を拡張し、二つの政権変動を生き残った経験を持つ大名って伊達政宗ぐらいしかいないんだよなぁ、と改めて実感しました。著者は、それ故に「畳の上でなくて戦場で死にたかった」という政宗の言葉を、その限界ともいいます。まあ自分が一番活躍した時代の時に死にたかったというのは、解らないでもないです。

 これ、小説化とかドラマ化すると面白いですよね。まぁ実現する為のコンセプトをどうしたら・・・老後?終活?みたいな形ですかねぇ。