pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

んで、読み終えたもの

 実際土日で読み終えたのは別の本だったのですが、昨日読み終えた本の方が印象深かったので、まずこっちを先に。

 

キューバ現代史――革命から対米関係改善まで

キューバ現代史――革命から対米関係改善まで

 

  これは比較的最近までのキューバの事を書いているので『現代史』ですね。そういえばキューバの事、ほとんど知らないなぁ、と思い借りてみました。

 一般に社会主義国として知られるキューバですが、厳密には第一次独立戦争の指導者ホセ・マルティの自由と平等が根本にあり、その社会を実現する為にどうすればいいのか?という試行錯誤の国である、と言えます。この本が筆をおいている2016年現在でも続いています。

 「自由と平等」ってアメリカのうたい文句なんですが、アメリカのそれって「お金持ちの」という形容詞がついている感じですよね。キューバにとってアメリカは最近に至るまで、砂糖というモロカルチャーで搾取してくる帝国主義であるし、自国に都合のいい限られた人間にだけ富を分け与える存在でしかない。フィデル・カストロの起こした「革命」はそんな植民地支配を打破し、キューバの全国民に「自由と平等」をもたらす事を目的にしていました。だからなのか、他の発展途上国と異なり、支配層がストイックであり、賃金格差が小さく、貧しさを平等に耐え忍ぶという体制でした。これに教育と医療を重視し、それらを無償で提供されて・・・って、すごく意識高いのですが、これも現実の間には矛盾を発生させます。具体的にはアメリカによる用意周到な経済封鎖により、アメリカはもちろんの事、第三国の企業ですらキューバとかかわりを持つと経済制裁を受けるという・・・内政干渉?酷いな。

 その為に識字率が日本よりも高く医学もトップクラスなのに、高学歴の人材がそれに見合う収入を得る事が出来ない。医学特許の九割はアメリカが握っているので医薬品が不足している。観光業偏重にせざるを得ず、それにかかわる人々の収入がけた違い(チップ収入だけで月収を一日で得る事さえあるという)。こうなると教育を受ける事に意味があるのか?になってしまいます。

 また六十年代に男女平等と人種差別の撤廃を法律で制定しているのですが、所詮法律上の事でしかなく、現実には女性は家事をしなければならない(夫婦で個人経営する場合、例外なく夫が代表者になり妻は接客業となったりする)、黒人系は肉体労働に追いやられ、そういう人種と貶められる、という、矛盾が解消されない状況にあると。

 五十年以上の試行錯誤の歴史は、やはり人間の平等とは、文化的な生活を送る事と様々な事に挑戦する可能性の平等であり、収入や地位の平等ではないんだなぁ、と思ったり(収入が平等だと人は働く意欲を失う)します。

 ただ小国キューバの指導部って凄いなぁとは思います。あれだけアメリカの近所にあり、干し殺し同然の状況にありながら屈せず、五十年以上アメリカと経済戦争しているようなもんですからね。駄々っ子のように暴発して戦略的勝利目標させ設定せずに喧嘩を吹っかけて、ぼろくそに負けたどっかの国の軍部とは気合いの入り方が違います。

 ああ、案の定、この本で今日の日記は終わりですわ。明日、覚えていられるかな?