pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

まだ三巻です。

 これです。

 

十字軍物語 第三巻: 獅子心王リチャード (新潮文庫)

十字軍物語 第三巻: 獅子心王リチャード (新潮文庫)

 

  今、四巻にかかるところ。これを全部読んだら、2/23に行うD&D5eのスタートセットキャンペーンの読み込みに入ります。ええ、大判の本って見やすいけど、ながら、だと大きいのでやりにくいのです(言い訳

 さて、十字軍物語、文庫本で出版されたら全巻買うって、というか塩野さんの作品は文庫版で全部揃えるつもりなので・・・ハードカバーだと本棚を占拠されるからなんですが・・・ハードカバー版で一応読んでいるのですが、もう何年も前の話ですからね。

 この巻で塩野さんが好き好き~なのは、サラディン、彼の弟のアラディール、その息子・・・あ、名前が出てこない、とリチャード獅子心王ですかね。あとヴェネツィア元首のダンドロさん。こちらは『海の都の物語』で登場しているから解っていますが。

 サラディンたちはイスラム、キリスト両陣営から評価が高いので納得ですが、リチャード獅子心王と言えば脳筋の代名詞みたいに自分なんかは思っていたのです。大家の歴史家が『戦士として以外は全て最悪の男』と評しているのがその理由なんですが、塩野さんにかかると父親にとっては最悪な息子だけど(反乱を起して打ち負かした)、母親にとっては違うといいます。父親ヘンリー二世は息子の婚約者候補だったフランス王女といい仲になって、邪魔な十一歳年上の妻(つまりリチャードの母親)を幽閉してしまうからで、それへの反発も反乱の理由であり、父親に勝ったらただちに母親を解放しています。リチャードは実子を遺さなかったので旦那としても最低・・・という評価ですが、妻との私生活に関しての記録は残っていませんし、母親や妹に対する接し方(妹にイスラム教徒のサラディン弟アラディールと和睦の為に結婚しろ、と言って、嫌だ!!と拒否られて引っ込めるとか、妹が前夫から不当な扱いをされていると知ってシチリアで軍事行動を起こして妹を取り返して、十字軍としての出発が遅れるとか)、からすると女性に対して結構優しい人だと思います。あと不正を基本的に許さない性格とか。

 戦略家、戦術家としては一級と言ってもよく、サラディンを翻弄して負けなしです。国王として最悪っていうけれども、当時の国王とか諸侯って国の支配者というよりも、大地主って感じなので、ないものねだりかも知れないと思ったり。

 この本でリチャードが単なる『脳筋』から、愉快で話せる『脳筋』という評価になりました。筋力で考えている、それが冷静で冷徹であるという評価なんですけど。

 次巻が最終巻ですね。