pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

あるところにはある

 先週、さんざんないないって言っていた幾花にいろさんの短編集。日曜日の東京コミティアでのジュンク堂さんの出張販売で入手したのですが、昨日、上前津のΣにD&D5eのシナリオ集を購入に行ったら、ありました。ええー。先週行った時はなかったのに・・・間が悪かったのかな?こういうのも運ですね。

 さて、今日は文章ものの方です。

 

中世ヨーロッパの家族 (講談社学術文庫)

中世ヨーロッパの家族 (講談社学術文庫)

 

  ヨーロッパって言いながらイングランドぢゃーん!!という突っ込みを覚えました。何でしょうね。日本の題名ってこういうつけ方するんだよね。安易というべきか、連想しやすいからなのか・・・まぁいいか。

 言ってしまえばヘンリー六世からヘンリー七世までの、ばら戦争期に判事から身を立て、身寄りのない司令官級の軍人が持っていた遺産を受け継ぐ事になった郷士一家が、上流貴族や同輩の郷士たちとの遺産相続騒動を、政権の移り変わりに振り回されながらもなんとか勝ち抜いていく様子を、一族の書簡から研究したものです。

 これ読んでいると、同時期の日本とあんまり変わらんなぁ、と。ちょうど室町から戦国初期にまたがる期間でして、同じ時期の日本は比較的安定していた時期もあったのですが、まぁ紛争が激化して戦国期が始まるって時代です。イングランドは逆にばら戦争の混乱がようやく鎮まり、主役のパストン家も何とか地位を確保したところで終わります。筆まめな人がいなくなるので。

 その武力をともなう、まるで893の抗争のような状況は、当時のイングランドが法廷に訴えても縁故や賄賂が証拠とともに重要視され、実力で確保しないと保持できないという乱世であった事の証明でもあります。

 ヘンリー七世から始まるチューダー朝は、血統の上で正統性に疑問符をつけられるので、厳格で権威を振りかざし強圧的との批判もありますが、一方でそういう態度に出なければ国内の騒擾を沈める事ができなかったという側面もあるという事です。そんな話。

 

  さて、そんなイングランドと同時期に日本では室町将軍が必死に自己の権威化を行っていました。そんな話が載っている本です。義満~義尚期までは摂関家の一部から中級公家に至る範囲で名前に関する権威を確立します。が、その将軍権威が明応の変で揺らぐと、失脚した将軍の名前をつけている事は、やはり政治的に不都合になるので改名しちゃうし、誰も欲しがらないよねー、という話。五年前の発刊なので、ちょっと歴史上の人物の評価が若干古・・・保守的なところもありますが、ま、こういう感じだったと解るのが面白いですよね。

 残りは・・・明日。