読書を一生懸命って、あーた。ま、読み終えたものは、これです。
この方の作品はSFものが割と好みでして、とは言っても自分で持っているのは『火星ダークバラード』の一冊のみで、後は図書館で借りては読んでいるのですが、図書館の書架に未読作品を見つける度に借りて読んでいます。
日中戦争勃発前から終戦の期間で、主に中国大陸を舞台に架空の『細菌を食べる細菌』を細菌兵器としばらまこうとする者と、それを阻止しようとする者。戦争中の事なので敵味方が駆け引きしながら情報をやりとりする、何というのですかね、サスペンスとも冒険小説とも、スパイものともカテゴリーしづらい小説ですかね。
一応、架空の細菌を巡る話なのでSF要素もあるしナ。
決着はつきますが、細菌に対する治療方法は完全には確立されずに現代にいたる、なんて終わり方をしています。まぁそりゃそうで、素人だとワクチンとか抗体とかできればOKぢゃないの?という気持ちになりますが、細菌側もただただやられる訳ではなく、自分に対して攻勢の細菌へのカウンター能力を獲得する場合もあるし、耐性を得る場合もある。いたちごっこにならざるを得ない側面がある訳でして、その辺も含ませているラストでしたね。
あんまりにもノンフィクションを小説仕立てにしたような作品なので、実際にあった事件なの?とか思ってしまいますが、最後の最後に、モデルにした細菌は実在しますが、毒性は一切ありません、とフィクションである事を明言なすっています。それがないと、思わずwikiで調べようか?って思うぐらい、ありそうな事件ですね。
著者が女性だからなのか、明確なヒロインどころか、女性キャラは一人ぐらいしか登場しないという・・・ま、ハードボイルドだしな。女性キャラ出したらより悲劇的に蹂躙されるか、場にそぐわないキャラになっちゃうよな。
1930年代のハードボイルドを楽しみたい方は是非どうぞ。