pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

軽い風邪気味っぽい

 土曜日にセッション終えた後、一人で行きつけのダイニングバーへ行き、そうなると赤葡萄酒一本干すのがデフォなのですけれども、何やら行きずりの人と話し込んで、一杯余分にカクテルを飲んでしまったのですよ。翌日・・・水便になるわ、絶えず睡魔に襲われて頻繁に寝るわ・・・まぁ軽い風邪という事なのでしょうか。おかげで日曜日はシナリオがまったく進捗しませんでした。最近進捗ダメです状態なんですけれども・・・

 土曜日に遊んだのは同人システムの『翠緑のフローリア』というTRPGで、プレイの感想をつぶやいていたら制作者らしき方からツイートもらってしまた。計算するのが面倒だから、図を描いて、それを魔法(スキル)コストにすると同時に命中表にもして、攻撃を座標枠で管理し、線で描かれた魔法コスト(魔法陣)に命中すると魔法も生命点も失われるというシステム。つまり線が増えれば図形を増やして魔法が使えるリソースが増えるのですが、逆に命中する確率も増えて生命点が失われる機会も増えるという。なかなか面白いシステムです。ざっと見ると幾何学的で理系TRPGか?と思いますが制作者さんは文系だという・・・ギャップ萌え?(チガウ

 世の中には面白い事を考える人もいるもんだなぁ、と思いました。

 さて読み終わったもの。

 

袁世凱――現代中国の出発 (岩波新書)
 

  そういえばこの人物の事はまるで知らんなぁ、と思ったので入門編的な冊子だと借りました。袁世凱という人はイメージで言うと清末の中央において最有力の軍閥で、辛亥革命が起こった時、革命勢力では清朝を倒せないので彼を大総統にして倒してもらった。そしたら反動的な彼は中華帝国の皇帝になろうとして第二、第三の革命を誘発し、結果帝政は失敗した・・・というなんか歴史を逆回しにしようとした人物として理解されていると思うのですが、本質的にこの人、能吏なんですよね。西洋の軍事力や組織力清朝の分権体制は適応できず、『西洋のコピー』と侮っていた日本にすら最強の北洋軍閥は負けます(なので日清戦争は実際は日本対中国北東沿岸部を基盤とした北洋軍閥の戦争であり、清朝全てと戦った訳ではない)。その事を朝鮮国内の最前線で外交に携わり、やりあった袁世凱は理解し、日本軍に習った軍隊や地方組織(天津)を建設していきます。しかし光緒帝やその側近グループの性急な改革とは一線を画し(急かせるばかりで現場から遊離してしまい、何の成果も得られないという『トップがアホやと現場が動けん』の典型)、逆に袁世凱は改革派を密告して失脚させます。無理な事をやっても無理ぢゃという事ですが、これも反動だというイメージを強めます。

 結局のところ彼は官僚として清朝に仕え、西太后亡き後の末期の清朝トップが経験不足なボンボンばかりになってしまったが故に清朝は中国支配の支持を失い瓦解。中央政権の取り込みを図った革命勢力に袁世凱清朝に見切りをつける形で清朝が倒れます。

 最初は袁世凱も共和政、議会責任制を指向しますが、今の野党の動きも見るように大方の議員は党利党略、自己の利害に基づくばかりで行政側を束縛、妨害します。これに嫌気がさして帝政に移行しますが、どうも『流行』というものに袁世凱は疎かったようで、民主主義、自治の対立語になってしまった帝政は自ら子飼いの軍人たちに否定されて瓦解。彼自身も呆気なく病死してしまいます。しかし彼が行政を率いて行った改革は、その後の蒋介石などに引き継がれますし、現在の中華人民共和国世襲制ではない『中華帝国』と言っても過言ではありません。中国政府がどう言おうと、実体はそんな感じです。

 だとすれば袁世凱という人物は中国のある種の『鏡』と言えるのではないでしょうか、と著者の方は書いてます。面白いのは著者自らが袁世凱を『嫌い』と言っていること。評伝て、だいたい好きとか好意的に見ている人を書くぢゃないですか。興味が沸くから調べる、知りたい。それが嫌いだけど袁世凱の客観的な資料が発刊されたから、これを期に調べてみよう。出版社からも依頼があったし、という動機で書かれるとはねぇ。それも新書版。つまり削らないとならないページ数ですからね。結構大変ですよ。

 この本を入門編とするなら、さて次に読むのはなんぢゃろねぇ。