pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

文庫本を読み進める。

 先日まで谷甲州さんの三十年前のSF小説『ヴァレリア・ファイル』という作品を読んでいたのです。イラストが士郎正宗さんで、士郎さんの過去仕事画集で知って、古本を寄せました。アタクシの谷さんのイメージはほぼほぼ『航空宇宙軍史』でして、情け容赦のないハードコアスペースもの。つまり一つのミスで人間が無情にグッバイしていく世界観なのですが、『ヴァレリア・ファイル』はそれとは真逆の、ライトな世界観でした。PCがようやく普及し始めてネットが始まりかけた頃?の1989年で出たネットもの作品・・・おう。今の状況からすると、素人の自分でも「ん?」と思わないでもないところがありますが、士郎正宗さんの攻殻機動隊とほぼ同時期に出された作品と思うと考え深いですね。あ、士郎さんのイラストがついたのは中央公論社の新書版です。

 アタクシ的にはヒロインはともかく物語を動かすハッカー(作中ではマイナーという表現もあったけど、よく解らん)男女二人がはちゃめちゃ過ぎて、ええっと読み進められない・・・男キャラはまだ常識の範囲内ですが、少女キャラの方は、もう、男にとって最も理解不能な女性像とも言えます。有能ですが脈絡がなく、自分本位で情け容赦もない。しかし気分が良ければ愛想もいい、という・・・ああ、疲れる。疲れたよ、パトラッシュ・・・

 面白かったけど難行でしたね。それが読み終わったのでようやく新刊に取りかかれると。

 

分かれ道ノストラダムス (双葉文庫)

分かれ道ノストラダムス (双葉文庫)

 

 

 

分かれ道ノストラダムス (双葉文庫)

分かれ道ノストラダムス (双葉文庫)

 

  1999年、ノストラダムスの予言が告知したと言われる七月の出来事。好意を持っていた男友達の死を、回避できた分岐点があったのではないか?と想像して調べるうちに、あるカルト教団が浮かび上がって・・・というお話。主人公は、まぁ『バカ』な少女です。やはりバカでないと物語は転がらない・・・お気に入りは探偵役の少年です。いや、用意周到な人ですね。仇が凄くいやらしくて、何度も読むのをやめて頭の中で、そやつを八つ裂きにしてから読み進めるという事をしていたので結構時間がかかりました。深緑野分さんの作品では、自分が読んだ中では一番幸せなラストではないでしょうか?つまり安心して読めるという。いや悪役を〇してやりたいと何度も思って読む手が止まるのはアレでしたけど。

 これで次は『星系出雲の兵站』の新刊にかかれます。はい。