pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

三連休は寝不足。

 おかしい。予定を入れなかったから惰眠を貪れている筈なのに、どうしてこうなった?まぁ深夜枠で葡萄酒一本、毎晩干していたからなんでしょうが(あ)

 その割には見ていた映像はいまいちな感じで不完全燃焼。うむむむ・・・まぁ思いつきで録画しているのだから、こんな事もあるさーね。んで書こうと思ったのは明日に回して、今日は読み終えたものの方。

 

足利義輝 (シリーズ・室町幕府の研究4)

足利義輝 (シリーズ・室町幕府の研究4)

 

  この論文集を読んでいたら、自分、三好方に拠りすぎていたかなぁ、と反省。まぁ先日の『六角定頼』を読んでいた時にも感じましたが。

 十三代足利将軍の義輝は『剣豪将軍』と『永禄の政変で殺された』というイメージが先行していて、それ以外の研究、評価がまだ定まっていない人と言えます。親父に習って十二歳で将軍就任するも、京にはほとんど滞在できず、最初は細川高国と晴元の抗争で。次は細川晴元についた事で三好長慶とその同盟勢力(細川高国後継を名乗る氏綱を担ぎ上げています)との争いの為に長らく近江の地に『亡命』していました。

 三好方からの視点だと京から逃げてしまった足利義輝幕臣は見放し、京周辺の人々も裁判を三好方に依頼し、その権威はまったく失墜という事になるのですが、三好方と和睦し彼が在京するようになると、彼の元に裁決を求める人々が集まり、その事を三好方も掣肘していません。また三好宗家宿老の松永久秀は、その立場を持ちながら幕臣評定衆としても働き、意見を言って足利義輝を掣肘するも、その権限までは侵していません。どっちかというと横やりよりも、間違っているから再吟味、あるいは訂正して下さい、というスタンス。言われるほど横暴な事はしていません。

 松永久秀は主君三好長慶の許可の下、幕臣としての比重を強めていますが、これがのちに『永禄の政変』への関わり方、それ以降の三好三人衆との対立の伏線になったようです。

 また『永禄の政変』も御所巻と言われる強訴と一種が暴走した結果である、との説が有力視されています。まぁ三好方の御所巻の目的が、足利義輝側近、愛妾の抹殺ですもん。受け入れられる筈もなく、そんなら実力行使ぢゃーって、側近やら愛妾やら殺そうとしたら、側にいる足利義輝だって巻き添え食うよね、という話。

 まだまだ研究が進んで欲しい分野なので期待しています。

 んが、これを知ると今年の大河ドラマ足利義輝松永久秀の動き・・・もし久秀が『永禄の政変』を不承知ではなく首謀者として描かれたら、従来の通説を踏襲する事になるから、見る気がなくなるかも知れぬ~。とかね。

 

皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)(新潮文庫)

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  • 作者:塩野七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/06/30
  • メディア: Kindle
 

 

 

皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

  • 作者:塩野七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
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  はい。三連休で読み終えました。ハードカバー版は図書館で借りて読みましたから、まぁ復習ですよね。

 こういう筋道通った人が報われずに死に、理不尽な敵方の復讐心で子孫皆殺しの結末ってやるせないですよね。狂信のなせる技というか、挙句にその為に自らの立場を半世紀後とは言え危機に追い落としてしまうというのがね。

 塩野さんの著作を読むほどに、ああ、日本人でヨカッタとか思ったりするのですよ。少なくとも日本の歴史って理不尽な行為を行った者が大手を振って勝者になるって、長期間ではなかったのですよね。自分たちの立場を見誤ったが為に、本当は話が解る世俗権力者を殺し、話の通じない世俗権力者に身柄を拘束されてしまうってねー。

 この人は映画にはならないだろう、って塩野さんはおっしゃるけど、この本読んだ日本人がマンガ化しちゃうって事は、あるかも知れませんよ。とか思います(チェーザレ・ボルジアもマンガ化されている最中だもんなぁ)