pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

全部読み終えてから、と思ったのですが

 辛抱たまらず書きマス。

 

マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫)

マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫)

 

  最近の文庫本って初版以外は電子書籍になんですかね?うう、読みたい本は直ぐに購入しないと冊子では手に入らない時代になるのか・・・

 まぁそんな時代よりも遙か未来のお話です。どうも人類はワームホール航法で宇宙に広く進出している時代でして、主人公はそんな時代の警備ユニット・・・暴走して人を大量殺戮したんぢゃないか?記憶が削除されているけど・・・というマーダーボットです。ガワが有機構成体・・・どうも人間の遺伝子をクローン培養してつけているらしい・・・で内部は比較的高性能なAIみたいです。比較的というのは、作中に主人公よりも高性能な、あるいは低レベルなAIが登場してくるし、ご本人も得手でない事は得手ではないとはっきり言います。

 自称は『弊機』で『弊社』という保険会社が保有者で、普段からアーマーに身を包み、人間に素顔を見せるのがイヤ。できれば業務以上の関わりを持ちたくない。趣味はドラマなどの映像娯楽コンテンツに何時間も耽溺すること・・・すごく後ろ向きなロボットもいたもんです。

 煽り文句の『冷徹な殺人機械のはずなのに、弊機は酷い欠陥品です』という言葉通り、大量殺戮した(らしい)事を気に病んでおり(オイ)、ある事件で『弊社』から所有権が個人に移った事を機に、その殺戮事件について調べ始めました。というのが上巻のあっさりした粗筋。本当はもっと面白いです。この弊機のキャラクターが凄くいい。人間臭いくせに冷静なところとかね。殺人機械よりも警備ユニットという属性が強いせいか、一緒に行動する人間の安全を確保してから行動に移る傾向があり、そのせいで何度も酷い目に会い、「人間は愚かな行動を選択して危険に陥りやすいから、次からはもっと断固とした行動をとって、そういう目に遭わせないようにしよう」的な事を考えるぐらい、人としてみるとお人好しです。まぁそうプログラムされているからなんですが。

 ただし一筋縄ではいかないのが、本来なら統制モジュールで行動が制約されている筈なのに、殺戮した事を気に病むあまりにハッキングして統制モジュールから逸脱しています。つまり暴走ボットである事を自ら認めています。先日見たサイコパスの登場人物と比べると、何と冷静なのか!

 問題なのは、この作品は『弊機』の一人称モノローグで文章が綴られており、私が『弊機』のキャラクター性が好きすぎて音読しないと気が済まなくなっているせいで、読書速度が低下しております。オイオイ。その上喉を痛めているし、口内炎もあるしで音読しづらくなっているし・・・まぁ、ゆっくり音読に耽溺するのもいいでしょう・・・

 

  こっちは真逆で、その文章が好きでなかった為に流し読みに近い感じでした。古代の女性天皇で唯一母娘の継承を行った二人の事です。

 聖武天皇への中継ぎと評される事の多い二人ですが、著者の説明があんまり納得できなかったので、自分なりに想像すると、本来天武天皇草壁皇子という継承で行われる筈だった律令制度の整備、導入。『日本』という国家の歴史やら正当性の整備なのですが、草壁皇子の夭折により、天武天皇の皇后であった持統天皇が即位して草壁皇子の息子である文武天皇に引き継がれ、国家制度の整備は継続します。

 ところがその文武天皇も夭折。その当時の皇族の中で、天武天皇はともかく、持統、文武、二人の天皇の近親者で最高齢者は元明天皇になる草壁皇子の妻、阿閉皇女でした。彼女は義姉であり姑の持統天皇時代は側近として政治に関わっており、天皇の正妻ではありませんでしたが、それに準じる立場でした。当然律令制度の運営も心得ている。なので文武天皇は母親へ皇位を渡すという異例の事をしました。前例のない、外国の先進制度導入の為に、血統+実務を理解している者が政府を運営しなければならないという判断でしょう。

 その元明天皇は娘であり文武天皇の姉であった氷高皇女に位を譲ります。当時聖武天皇となるべき首皇子は十五歳。しかしシステムが定着しているとは言いがたい時期に、未成年の天皇を強行する軋轢は、文武天皇の時にもありました。なので自分の補佐役として政務に携わった経験のある氷高皇女に譲位したのでしょう。彼女は生涯独身でした。どうも文武天皇が病弱である為に、早くから彼女に皇位を継がせる構想はあったようです。

 この二代の女性天皇の時代に律令制度が確立する事になり、それを見届けてから聖武天皇への譲位が行われた、そんな感じに理解しました。

 ま、古代の日本は男尊女卑にこだわったら社会が回らないぐらい脆弱であったという事ですかね。男尊女卑もイデオロギーですから、イデオロギーへの耽溺は、実は余裕のある社会の証拠なんぢゃないか?と自分は疑っていたりもするのですけど、どーなんでしょうかね?自分はイデオロギーにこだわり実行すると、合理的でなくなり無駄が生じると考えているので~。