pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

読書会と申すものに明日参加す

 そもそも何をやるのか解っていないのですが、読んだ本の感想を言い合うで良いのだと理解しています。んで、一応感想文を書こうかなぁ、と思ったのですが・・・これ、いつも書いている日記でいいんぢゃね?と思いつき、そうなりました。酷いですネ。

 

 

伊豆の踊子 (新潮文庫)

伊豆の踊子 (新潮文庫)

  • 作者:川端 康成
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05/05
  • メディア: 文庫
 

  はい。ノーベル文学賞作家、川端康成の代表作の『伊豆の踊子』です。映画になっているから恋愛モノかと思っていました。はい。日頃読むジャンルではない『課題図書』なので、読み始めるまで一切解っていません。

 主人公は二十歳の学生(旧制高等学校なので、今の高校生と大学生の間ぐらいの勉強をしている・・・みたいな?)で一人で伊豆の温泉地を巡っています。お金ないし、どうも明治とかの時代っぽいので自動車とかもないようです。徒歩で温泉地を巡る・・・すげえな。んで、その道行きで流しの芸人たち、四十代の女一人と二十代の女一人、十代の娘二人に二十代の男一人、という構成の人たちのうち、一番若い娘・・・主人公は『踊子』と呼んでいますが一向に踊るシーンはなく、太鼓を叩く係のようです・・・が気になって、最初の頃はさりげない(つもり。たぶんバレてる)様子で一行の道筋を後追いしたり、追い越したりして行き、二十代の男と親しくなって、数日間同道する事になった、という筋。芸人たちは宿の人たちに歓待されながらも、見下されています。泊まる宿は学生は温泉宿で芸人たちは木賃宿(素泊まりかな?)。学生は自分だって懐が暖かくはないのですが、彼らに小遣い銭を与えたりしています。

 最初は踊子との恋愛ものかなぁと思っていたのですが、恥ずかしがっていても慣れてくると子供っぽく懐いてくるし、思っていたよりも年が若い事を知って、学生はほのぼのした感情を抱き、暖かな思いを抱くようになります。どうやら彼は孤児のような境遇のようで、ささくれだった感情を持っていたのですが、踊子の素朴な子供っぽい好意というか、親しみというか、芸人たちの、辛い事や哀しい事を乗り越えて生きている姿に心が洗われている感じです(二十代の男女は夫婦なのですが、二度ほど流産やら死産やらを経験しているようです)

 結局、旅費が尽きた学生は、芸人たちが誘う伊豆大島(そこが彼らの『地元』らしい)には向かわず、一人で東京に船で帰ります。そして彼と同じように一人で東京に向かう少年を、他人から託されて、書き付けの住所に送り届ける事になります(確か。鞄に本を入れてしまったので、うろ憶え)。当時は身寄りのない者や貧しい者同士、そうやって助け合った事もあったのでしょうね(全部が全部なわきゃあない。酷い奴はいるもんね)ほのぼのとした暖かさを胸に帰っていく・・・と言う感じの話です。

 ・・・これを映画化。Amazonの商品紹介で出てきた限り、吉永小百合山口百恵で二回作っています。どーなんだろ?ほんのちょっとの交流、お互いの仕草、優しい気遣いで、ぎすぎすしていた心持ちが、ほのぼのして、家族に囲まれたような幸せを学生は一時感じたのだと思うのですが、これを恋愛にしないと映画にならねーよーな気もするけど、どうなんでしょう?映画は二本とも見ていないので解りませんが。

 この年末年始から一月末まで、アタクシ好みの文庫版が結構発売されていまして、この短編集に収録されている他の作品まで読んでいませんが、こういう『幸せ』とか『寂しさ』を表現するのが川端康成という人なんでしょうかね?