pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

今日は読み終わったもの

 二冊ほどありますが、まぁ・・・ねぇ・・・

 

錬金術師の密室 (ハヤカワ文庫JA)

錬金術師の密室 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:紺野 天龍
  • 発売日: 2020/02/20
  • メディア: 文庫
 

  陰謀とか、そういうものを期待して手にしました。読み始めてしばらくは・・・ああ、ロード・エルメロイ二世の向こうを張るつもりなのか、と思いましたが、ええっと、アクションはナシです。この本に関しては。錬金術師が七人しか存在せず、それを解き明かせば人は神に至る、と言われる秘密の解析に凌ぎを削っている・・・と思いきや、スチームパンク技術の発展にも貢献していて、存在そのものが各国のパワーバランスをとっている、という世界。

 その錬金術師の一人が魂の解析、構成に成功した、つまり人の錬成に成功したからお披露目するぞ、というのが物語の発端。招待されたのが、最近女王の肝いりで軍に解説された錬金術対策室の女錬金術師(同性愛者っぽい)と士官学校では成績優秀者だったけど、つまらない妬み僻みにさらされて足を引っ張られて、僻地に飛ばされた青年将校。相性は最悪の二人の前に、人の錬成に成功したという錬金術師が密室で殺害された、と言う事件が・・・

 最初はね、酷い推理でオチをつけたなぁ、と思って読んでいたのですが、ちゃんと大丈夫でした。はい。全部読めば解ります。そしてシリーズ化したい気持ちが全面に溢れている気がする。どーするのですかね?スチームパンク冒険ものとして描かれれば楽しいと思いますが、ミステリーものとしてはアクションなしのロード・エルメロイ二世になりそうです。そんな気がする。どーなるのかな?いや物語よりも、今後の商業展開がどーなんのかなって思ったのデス(いらないお世話

 

  室町幕府十三代、十五代将軍の兄弟ですが、こういう風に並べられて書かれるというのは、あんまりないかも知れません。今まで見た事無いです。

 まぁ率直に言えば、足利義輝も義昭も、戦国大名たちの傀儡じゃないよ。主体的意思を持ち、政治を主導しようとしたのですよー、という話なのですが、仕方ないとは言え、足利兄弟よりの記述です。細かい戦国期の情勢を端折ったり、不正確に書いていたりしていて、ちょっとこれは・・・と思うところが多々。

 それから相変わらず織田信長を冷酷、残忍の印象で描いていますね。だから足利義昭との関係性を論ずる部分も、浅く感じる。義輝、義昭兄弟の連続性を読むのでなければ、アタクシは久野雅司さんの『足利義昭織田信長』の方が興味深いし、バランスが取れているし、整合性も優れている、と思いました。義輝が殺された『永禄の政変』についても、なんか踏み込みが浅く感じるのですよね。お勧めするなら、こっちかなぁ。ま、これも好みの問題かも知れませんが。

 

足利義昭と織田信長 (中世武士選書40)

足利義昭と織田信長 (中世武士選書40)

  • 作者:久野雅司
  • 発売日: 2017/10/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)