pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

まだ全部読んでいませんが

 『アレクサンドロス変相』でとりあえず知りたかったアレクサンドロス=二本角というイメージについての考察部分は読み終えたので、そこだけでも書いておこうかと。いや、なに、書くネタがね・・・(あ

 結論から書くと、これだ!!という確証はなく、様々なイメージ、意匠、説話からできあがっていったのが『二本角のアレクサンドロス』らしいです。最も古いのは彼の死後、帝国の覇権、というか分け前争いとなった『後継者戦争』中に、アレクサンドロスの威光を背負うために、各地の王となった元部下たちが、雄羊の角の冠をつけたアレクサンドロス像を貨幣に刻印したもの。

 他には広大な土地を征服した彼を現わすのに、『日の昇るところから日の没するところまで』という形容にともない、アラビア語の「qarn」が太陽の光明、曙光であるとともに「角」を意味し、まぁ「qarn」の単語が一文節に二つ出てきたから、『二本角』になったとか、他にも伝説でアレクサンドロスがペルシア王ダレイオスとギリシア王女の母との間に生まれたから、とか、まぁなんでもこじつけありありな世界のようです。

 もともと「クルアーン(コーラン)」の記述の中にマフメットが「二本角」という名前のアレクサンドロスっぽい人物が、アッラーの僕として信仰を広めたみたいな話をする場面があり、その前提として、ユダヤ教キリスト教アレクサンドロスが史実から離れて、各宗教の英雄、『救世主』のような扱いを受ける説話があったらしいです。イスラムは先行の啓典宗教の影響を受けているので。

 んでアレクサンドロスを英雄視する理由というのが、(彼らの感覚で)ユダヤ教を抑圧したペルシア帝国を滅ぼしたからであり、逆にペルシア側、その国教でもあるゾロアスター教から見るとアレクサンドロスは悪神の化身という事になります。

 イスラムにとってみればササン朝ペルシアは打倒すべき敵になり、カリフたちにしてみればペルシア帝国をかつて滅ぼしたアレクサンドロスが信仰の先達で、自分たちがその先例に従ってササン朝ペルシアと戦い、滅ぼすのは神の教えに沿うものだ。みたいなものがあるようです。

 途中までしか読んでいませんが、確かな史実が伝わっていない事もあり、時々の支配者や文化人が、歴史的超有名人である「マケドニアアレクサンドロス三世」を自説に都合良く取り入れ、つくりあげていく様子は、こう言ってはなんですが、面白いですね。そして宗教関係者の説明になると、アレクサンドロスは神の助けを得て世界征服した、思考停止人間に見えてくるのが不思議で、あ、そうか、宗教は考えるのではなく、信じる事を求められるものなのだ、と、改めて感じましたね。

 まぁ来週には全部読み終えそうですよ、はい。