pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

『五匹の子豚』

 デヴィット・スーシェさんのポワロもの。購入したDVD-BOXをようやく見始めました。ドラマだとタイトルの意味が良く解らないのですが、小説を読み返せば解るかな?十四年前に起きた画家殺し。犯人はその妻とされ有罪が確定。絞首刑になってしまいます。その十四年後。カナダに里子に出されていた夫妻の忘れ形見である娘がポワロに依頼します。きっかけは処刑前に母から送られていた手紙で、里親は成人した彼女に全てを話したようです。そこには自らの無実を告白する文章が。

 それで娘はポワロに十四年前の事件の真相を調べるよう依頼するのですが、そういえば小説版を十数年前に読んだ時も思いましたね。無茶だ、と。物的証拠は失われ、関係者の証言を照らし合わせ、その詳述の矛盾をついて状況証拠だけで真相にたどり着くという話です。たどり着けるけれども状況証拠であり、裁判において、なんら説得力のある証拠を提示できる訳ではない。ポワロ自身、真相を明かした後、関係各局に働きかけるけれども望み薄と断っています。

 殺人を犯した犯人は、その時に一瞬の高揚を覚えたけれども、その後の人生は「死んだも同然」と答えています。人を殺し、罪を無罪の人になすりつけ生き延びても、空っぽの人生だったという事です。

 実は自分がアガサ・クリスティが好きな理由がここにありまして、何といいますかね、一筋縄ではいかない心理の動きが、なんともいえぬ余韻を残しているようなのですよ。

 そういえば生きている事件の関係者は全部で五人でした。 だから『五匹の子豚』なのかしらん?

 

  それとは別に読んでいるのはウィンストン・チャーチルの評伝です。英国では膨大な資料があるらしく、読んでいる日本の方が書いた評伝は九年前のものなのですが、その当時でもチャーチルものはよく出版されているようです。日本での織田信長?感覚的には田中角栄に近い気もしますが。

 チャーチルマールバラ公爵家の傍流で(でも父親は公爵家の人間だったようなので、そこまで離れている訳ではない。『有名な』ブレナム宮殿で生まれたらしいし)、しかし家産はなく主に文筆で生活費をたたき出していたというのは初めて知りました。ノーベル文学賞をとっているぐらいですが、そこまでとは。生活スタイルは完全に貴族的なんですけどね。

 おおよそ半分ほど読んでいますが、明日まで読み終わるかどうかは解りません。今まで読んだところで分かったのは、傍で見ている分には面白いけれども、側にいたり、家族だったりしたら大変、という人物。奥さん大変だわ。子供も大変だわ(結婚で幸せと言える境遇の人は成長した四人の子供のうち、一人しかいない)。

 でもゲイリー・オールドマンが演じたチャーチルを思い出すと、あ、なるほど、そういう人なんだな、と思いましたね。