pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

読書が進むなり

 年末年始あたりから寒波が何度か押し寄せてきて寒い日和が周期的にやってきているのですが、不思議な事に自分、自室の暖房を入れておりません。もともとそんなに暖房を入れる質ではないのですが、手足が冷たいなぁと感じていても、暖房ボタンをポチッとする事がありません。これはあれですか。寒気に晒されればカロリー消費が多くなると思っているのですかね?

 炬燵で寝ていた母親が亡くなったので居間でも暖房は入りますが、父親が就寝すると自分は酒は飲んでも暖房をつけません。どうやら炬燵以外の暖房には無関心のようです。そんなんあるのか?まぁ今のところ寒気を感じる事がないので、いいかなぁ?

 そんな感じなので読書がはかどります。居眠りとかしないから。

 

エリザベス―華麗なる孤独
 

 

 

  関連した本を連続で読んでみました。以前も書いたようにエリザベス一世は、もしかしたらその後の英国王の在り方の、雛型になったのではないかと思います。王の娘でありながら、母親が刑死した為、嫡出子の印象に乏しく(かなり成長してからでないと王位継承権を認められなかった)、また母方の実家も無力化された為に頼るべき後ろ盾もなく、また宗教上の軋轢や嫉妬によって姉からは何度も反逆罪で処刑されそうになります。

 その経験から、誰にも決定的に頼らない。バランスをとる。国民の支持よって王位についているを認識し世論の動向を確認する。事を行動規範にしていたようです。外国の王族と結婚すれば国民の支持を失いかねず、同国人有力者と結婚すれば派閥争いから超絶していられない事を認識していた為に独身を通しますが、自身が独身であり、またいくつになろうと結婚の意思があると標榜する事で外国勢力とは、どこかしら縁談交渉を持ち、それを理由に決定的に旗幟を鮮明にしない。つまりなるべく中立を維持しました。

 そうなると後継者問題が浮上しますが、最も近しい次世代の近親であるスコットランドのスチュワート家に早くから話をつけ、表ざたにしない事が絶対条件にしていました。後継者が表沙汰になる事で現政権の反対勢力が彼と結びつく事を恐れた為です。

 このバランス感覚というのはイングランドの外交にも関わってくるみたいで、国力では決して他者を圧倒していないイングランドがその後数世紀にわたり列強の座を維持します。ブリカスと罵られる多舌外交の祖とも言えるかも知れません。

 そのイギリスの力の一つ、海軍力の歴史を中心に、合法的だった海の掠奪行為がどのような変遷で非合法になったのか、という話が二冊目。

 しかしそれ以前に塩野七生さんの『海の都の物語』などでヴェネツィアの海軍の事を知っているものですから、レパント海戦が行われたのが丁度エリザベス一世の治世なんですが、その時代の『列強』がいかに海軍を整備しておらず、私人の持ち船を持ち寄って結成される臨時のものであるか、というのが解ります。国として海軍を整備できたのはヴェネツィア以外は存在せず、同時期のスペイン王ジェノヴァの傭兵や各地の船を集合させていますし、オスマンも海賊たちを集結させています。

 つまり個人事業の集合体に過ぎなかった海軍は、掠奪などで収益を確保する事が優先されていたという事で、これが組織化、国家化されていく過程で法律の問題から掠奪が否定されていくという。ま、法的に否定されたというだけですから。実際の戦場、軍事的な現場では非合法とされようとも略奪行為は今も行われていますがね。

 そんな話でした。