pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

無理解

 昨日だったかな?Twitterの書き込みで、過激派になる人は安易に単純明快な手段を選択したがるという、研究結果が紹介されていましてね、それを思い出しました。

 

  中東世界の通史を述べた後、2016年までの騒乱、戦争について記載しています。そしてその原因の大半は、恣意的な欧米の思惑により、引っ掻き回されたという印象です。同じ著者の方の著作物に『イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか』というものがあり、なーんか想像つくのですよね。日本は一応曲がりなりにも欧米との接触からこの方、第二次大戦後の占領期間はともかく、それ以外は独立を保ち、互角の付き合い(戦争以外にも交渉でも)をしてG7の一角を占めていますから。欧米以外では他にない立ち位置です。くれぐれも『大国』とか思っちゃいけません。力関係なんて相対的なものだし。

 第一次大戦前後のユダヤムスリムへの無責任な約束から、イスラム・ステイツの対応まで、無神経で土足で手荒に、利権を無思慮に食い荒らしているイメージしかない。残念ながらそれはオバマ元米国大統領にしてもそうで、良くもまぁ日本は、こういう目に合わずにやってきたなぁ、と。地政学的なことや資源に乏しいという事から優先順位が低かったのもあったし、日露戦争である程度の実力を持った事を証明できたのも大きいです。それ以降はダメです。看板が国家神道キリスト教と異なるだけで、同じような事をして失敗して、その上、暴力機関でしかない軍部が無定見に(戦略目標を絶えず変更して戦争を行うなんて無定見だ)、野放図に戦線を拡大し、その癖、戦争最適機関として自らを改変する事もせず、非効率的な生産性、運営、人事まで行い(政争で敗れた人間を重要な最前線に飛ばし、求められていない人材をよこして案山子状態にして、結局戦争に敗れるような事をしている)、敗れ去りました。これ、『善戦』なんてしていないです。日露戦争の遺産に胡坐をかいていたとしか思えない。

 そう考えると戦後の政治家たちが『エコノミック・アニマル』と揶揄されようとも金儲けに奔走したのは正解だったと思います。国と国との間の力は、軍事力か経済力です。軍事力を持つ事を否定された国家としては、経済力を持つ他ない。解り易い金の力があるからこそ、欧米は戦後の日本の立場をある程度認めるようになった、とも言えます。

 資源を食い荒らされ、国情に合わない『民主主義』を独裁政権に押し付けて自らの味方とする欧米の手法は、中東の人々からすれば詐欺師や強盗、暴力団、マフィアの手口となんら変わらない。その背景にはキリスト教徒がムスリムを見下すという侮蔑や、歴史的にオスマンの脅威からくる敵対心があるのでしょう。

 古来より様々な勢力が興隆し争い没落を繰り返しながら、モザイクのように民族、宗教が住む中東では『寛容』というもの、流行りの言葉なら『多様性』を認め、互いに人間であると認め合わなければ生きていけないと十九世紀までに証明されています。

 安易に短絡な道を選べば人は相争い、衰亡していくということ。肝に銘じなければなりません。