pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

日本軍の事を調べれば調べる程・・・

 腹立たしい。解ってはいたけど、入門として読んでみました。

 

 海軍のやらかしが、海軍軍縮会議への反発から始まるとしたら、陸軍のやらかしはどこからなのか。と思っているのですが、そもそも日中戦争の事をほとんど知らない事に気が付いて、読んでみました。解っていたけど、印象としては、腕力に優れた脳筋のガキが、自分の都合で相手に無制限の、つまり自分すら何を要求しているのか分らない戦争を仕掛け、短期決戦しか頭にないので長期消耗戦に持ちこまれて徐々に不利に、厭戦気分になり敗北した、という感じ。

 どうもその後の中国における国共内戦で、中国国民党は自らの腐敗で敗北した、というアメリカの報告を知っていたから蒋介石に対して過小評価していたようです。事、日本軍、日本に関して蒋介石は自身が留学していた事もあり、その長所と短所を見抜いています。規律のとれた勇猛果敢な兵士は短期決戦に強いが、将校以上の人材があまりにも下劣なものが目立ち(蒋介石目線)、これでは兵士は戦えないだろうと判断しています。たぶん士官、下士官たちの兵卒への体罰とかぢゃないですかね。理不尽に思える理由で殴る蹴るしている現場を目撃したのでしょう。なんとなーく、士官たちって自らをサムライになぞらえるのが大好きで、サムライって江戸時代まで支配階級だったでしょう?士官学校で自ら努力して士官に、サムライになった人ってさ、血縁でサムライになった人に比べて自意識高そうでしょ。そういう人って殊更サムライ意識を振り回して、兵卒やら大学出の学士を見下したりするんではないかと想像します。こと、学士への憎悪って凄まじい気がします。英国なら大学出は例外なく士官さまだけど、日本軍は一兵卒に組み入れるもんな。『アーロン収容所』を書いた会田雄次さんが自分が学者だって言っても兵卒だったから信じてくれなかった、とか。他にもロケット工学の専門家を自分に逆らったからって東条英機は最前線送りしたとかね、なんかね、そういう話ばかり聞くと、日本軍って政治センスのない奴らって感じですよね。

 当初は中立であった諸外国も蒋介石の外交、宣伝工作により中国支持になっていき、日本は対外的な宣伝工作はせず国内的な締め付けばかりして、開戦後数か月で厭戦気分が漂い始めたといいますから、自国民すら説得できないありさまですよ。外交官自身が「自国が何やりたがっているか解らん」「外国メディアに触れないと、状況も解らない」って、自国の政府機関すら信じていないのが解ります。

 著者は日本はハードパワーを生み出す能力には長けているけれども、ソフトパワーを使いこなす事ができない、とおっしゃっています。たぶんソフトパワーを使いこなす事ができる政治家や企業家などの指導者が少ない、という事なのでしょう。今現在、安倍内閣ソフトパワーの構築には成功し、日本は孤立しているようには見えません。しかし社員に「やりがい」を求める企業家たちは、「大和魂(これも古典的な意味ではない)」をファナスティックに叫ぶ将校やら大の大人たちに姿がダブると思えるのは、勘違いなんでしょうかね。