pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

とっくに読み終わっていたのですが

 忘れないうちに映画とかリアルの観光(?)とかを書いていたら後回しになっていましたね。

 

 『マーダーボット・ダイアリー』の続編です。ワームホールを利用して星系間航行をしている時代。何度かの破局を経て現在は、どうも国家という概念がない星系自治体もあるようで、企業リムとNPOみたいな組織とかが多い世界です。少なくとも国家というものが物語の中で具体的に語られる事はなかった筈。

 まぁ主人公が人権がないとみなされている警備ボットなので、所有権を主張する企業とか、アンドロイドにも権利があると主張する民間グループみたいなものの方が登場しやすいかも。そして主人公の『弊機』はとても内省的で今回でも、できればヘルメットを装着して「契約」を履行したいと思っているみたいです。相変わらず契約した人の生存、安全を優先させる『弊機』にとってヒトは理性的ではなく愚かな存在で、守らなければならない存在ですが、理解できず、暇を見てはドラマなどの映像コンテンツを自分の電脳内で流して楽しんでいます。

 そんな『弊機』が拉致されました。守るべきヒトとともに。そしてややこしいのはそれをやったのは、かつて弊機と一緒に旅した大学所属の調査船(重武装)が正体不明の勢力に乗っ取られて、どうも『弊機』が彼らの望む能力を持っているとかなんとか情報を漏らしたらしく(意図的に)、その為に『弊機』はトラブルに巻き込まれた。顧客のヒトとともにっておかんむりです。あ、調査船も機械知性体です。アカデミックな仕様だからなのか、弊機よりも数段計算能力に優れてといる筈ですが、だからなのか人間臭くみえる場合もあります。ちなみに機械知性体は自分の乗員となった人間が好きなので、それ以外に対して容赦がないです。

 この作品、人間と機械知性体のギャップやコミュニケーションの行き違いがもどかしくも楽しく感じるのですが、一方でスペースオペラものでありながら、そんなに手垢がついてといる印象がないのです。それはなんだろう?設定された人間社会が、昔の作品に比べるとジェンダーレスになっているからでしょうか?名前とかも現代的な法則性から外れているし、彼、彼女という三人称が使われる比率が低く、登場してもしばらくは性別が判明しない登場人物が多い。極めつけは夫婦概念が男女のカップルどころか、二人一組という概念すら取り払われており、今回登場したティーンネイジャーの女の子に『第二母』という存在もあります。この共同体では三人一組の『夫婦関係』らしい。一夫多妻とか一妻多夫とか、そういうものですらない。同性カップルの方が異性カップルよりも登場回数が多いぐらい・・・いや文章で異性カップルって登場したかな?

 とは言え読んでいると『弊機』のモノローグ文章なので、特に人間たちの生態とかは、他人事みたいな感じでとらえられるのが不思議でした。あ、個人の感想です。

 著者はこのシリーズの新作にも意欲を持っているようですし、ファンタジー小説も書いていらっしゃるようです。日本で翻訳本がもっと出てくれると嬉しいかもねー、とかねー。