pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

一本空けると

 食べ過ぎます。昨夜がそうです。他にもニンニクスープをこさえたのですが、別の鍋に気を取られていて、ニンニクとベーコンを焦がしてしまいました。コンソメの素もこぼすし・・・昨夜は結構やらかしましたね、台所で。見ていたのも落語会の再放送を録画したものだったし。今週金曜日の晩も父親が飲みに行くので、今度はスパイシーホワイトシチューをこさえようと野望を温めています。また一本空けますが、その時はたぶん円盤で購入した『キングスマン』シリーズを見て笑いながら飲んでいるんぢゃないかな。

 んで読み終えたもの。

 

 著者が古代建築の専門家で、伊勢神宮の構造とかから天照大神を最も重要な皇祖神に設定した持統天皇の事績を前半に述べ、彼女の時代までの天皇家が男系のみではなく女系からも継承されていた事を証明しています。今日的観点からすると、父子継承ではない兄弟継承とかも、また女性継承者も中継ぎではない、という論証になります。特に推古や皇極・斉明は中継ぎではありえないですよねー。推古は三十数年在位し、その政治感覚の良さもあって大王の地位を確立したと言っても過言ではない。

 持統天皇の事績は、自らの子孫にのみ皇位継承を限定しようとはかり、神話を創設し、自らを皇祖神アマテラスに準え、神性を演出し、また譲位によって神性をまとうことを辞める事で天皇と言う地位にいるものが現人神であるという思想を打ち出した人とも言えます。少なくとも儀礼的、制度的な天皇家の始祖と言えるでしょう。

 著者は持統天皇への思い入れが深いせいなのか、彼女の死と直系後継者文武天皇の早逝によって彼女の皇位継承は後退し、彼女の政治的パートナーとも言うべき藤原不比等が自身の娘所生の皇子を即位させ、外戚として権力を握る事を画策し始めた事で男系継承が始まったといい、長屋王抹殺によって決定的になったと、その殺戮を非難するのですが、しかし持統天皇が自身の息子への皇位継承を確実にする為に、血統、能力ともに息子のライバルとなる、彼女から見れば姉の子、甥にあたる大津皇子を抹殺した事は、どーなんの?とか思いますねー。もっと言えば壬申の乱も、父天智が定めた後継者、異母兄弟である大友皇子を、その母親が卑母であった弱点をついて、夫天武と組んで内乱を引き起こした訳で、彼女の構想を実現する為に膨大な血が流されているのは否定できない。

 また時代が、環境が男系継承を選択したとも言えなくはない。女系継承をしようにも中国の法令である律令を受け入れた時点で、男系優先に舵は切られたし、また自身の直系以外の皇族は、天皇から親族的に遠ざかってしまう訳なので、権威、政治力の面で劣化は免れない。となれば、相手が藤原氏であろうがなかろうが、能吏となった豪族・・・貴族たちが出世を有利にする為に天皇に娘を入れ、母親の出自に関係なく天皇の子供でありさえすれば即位できるというシステムの方が好ましいと思うでしょう。

 自分は、天皇家天皇制というものは鵺のように時代に適合し、変遷を繰り返したからこそ、千三百年以上の命脈を保ってきたと思っています。男系にこだわる事が不利な時代になってしまったならば、それを乗り越えられなければ他の王家のように消えていくのも仕方ない事でしょう。文化は特殊性に価値があるけれども、継承されなければ一過性のものとして歴史になってしまうだけですしね。

 そーんな事を思ったりしたりしました。