pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

表紙は砂糖菓子のようだけれども

 中身はハードボイルドでした。砂糖菓子をハードにボイルドしたら溶けてまうやないかい、と自分で突っ込みを入れたりして。

 

 著者の方が華文ミステリー作家さんで、興味はあったものですから読んでみたいなぁ、と思っていたのですが、比較的自分が読みやすいジャンルで本を出されたので買いました。ライトノベルレーベルだから、自分が普段行く本屋さんにはあんまり置いていなくて、ちょろりと本屋を梯子しました。こういう表現でこの漢字を使うのって間違っているくさい。

 中世的なファンタジー世界で騎士候補の少女たちが学ぶ学校みたいなところで事件が起こって解決する物語かな、と予想していましたが、がっつり陰謀絡みで主人公たちも若いが現役の騎士で危険な任務にも赴き、最初の作戦で戦死者も出るという・・・ゲーム・オブ・スローンズ的な内容。なんという自分好み。

 世界的には、どうも一度破綻してしまった現実世界の後の、文明再興時代らしいです。それに気づいたのは、今回の事件のタネ本になった旧世界の書物がですね、一つの表意文字と二種類の表音文字を用いてつづられた文章という説明を見て・・・これ、日本語のこと言ってね?しかも内容がゲーム設定だか攻略本だかのようにしか読めない。書物文化が最高潮に発展し、しかも衰退が始まった時代のものとかって、電子書籍が出版社の売り上げの半分以上になりつつある昨今の情勢を意識しているような・・・

 王の再婚相手が隣国の因縁深い強国の王女で、その為に先妻の娘である第一王女は自らの権益を守りたい勢力と結び、その同盟の結節点として少女騎士団を設立し、同盟者の貴族、有力者の子女、関係者を教育し騎士に育成して、王女の政治的任務に就かせる、というもの。なので戦う事だけでなく諜報も、政治交渉も、そして政略結婚の駒としても使われる。王女への忠誠の下に献身する、まさに女性騎士ならではって感じ。

 主人公も平民出身ですが貴族の許嫁がおり、同盟勢力内の結束を固める意味での政略婚姻を受け入れ、自分の任務であると受け入れています。

 一応、この本で一つの陰謀事件は結末を迎えていますが、伏線はいっぱい張ってあるし、陰謀の元凶は死んだように見えて、実は別人の黒幕がいるように思えたり。王女殿下の物言いと、騎士団に属して王位継承権を持つ王女の従姉妹と主人公の間柄がギクシャクしているとか、助けた相手に裏切られて、その追跡行に赴くとか、今後の物語に期待してしまうラストではないですか!!

 続巻、出してくれないと困ります・・・