pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

感想が書きたくてうずうずしてた

 昨日の日記は全編小説の感想にするべきだったかも知れないけれど、この本の表紙も目立って欲しかったから、今日に回しました。

 

 

 高田大介さんは『図書館の魔女』シリーズの続刊を待ち続けているのです。それを差し置いて何書いてんねん!!とかファンは思うのですが、逆に、『図書館の魔女』に行き詰まっているから、目線を変えて違う作品を書いたのかな?この方の文章構成とか語り口が好きなので、読んでみたいなぁ・・・と図書館の書架に並ぶ日を待っていたら文庫化が早かった・・・まぁ自分としては嬉しいです。

 舞台は現代日本。『裏世界ピクニック』が流行っていてるならば(あたしゃホラーものとして購入しているのではなく、宮沢伊織さんの作品が好きなので購入している口なので、ジャンルであるから人気があるとか、感じた事はないです)、受け入れられやすいのかな?大学の卒論テーマ、研究方針へのアドバイスを主人公が行うところから始まるのですけれども、大半は、まぁ筆汚しみたいな最低レベルを維持できればいいって学生ばかりで、大学院への進学を親の支援もなくやろうとしている主人公からすれば、アレな感じの話が多い中で、興味深い話題が出てきます。ある学生の幼いころの話で、町なかに二重丸の、蛇の目紋が何枚も何枚も貼られていて、魔よけにしても執拗で不気味さを感じた、と。

 どうもそれが主人公の育った町近くの話のようで、夏休みを理由して調べてみようと思い立ったのが発端。社会学が専門の主人公からすると神社の由来など歴史学分野の調査というのは勝手が違って、偶然再会した図書館司書見習いの幼馴染にアドバイスされながら、資料館職員、在野の研究者から手引きされて調べていくと・・・という展開。

 日本の土俗的なホラー・・・ではないな、ミステリーという雰囲気になっていき、それは主人公の出生にも関わってきて、自分好みのお話でした。自分が歴史の論文を読むのが、まさにこういうミステリーの謎解き展開に似ていると思う面があるので、楽しくて仕方ない。そして、こういう職業の人たちが待遇が報われないのが今の社会なんだよなー。政治家や世論が求めるのは真実らしい歴史ではなく、自分たちの感性や経済的に合致した『政治的に正しい』歴史なんだもんなー・・・とか思ったりする。

 あとは、終盤で決定的な謎解きをする言語比較学者のキャラ造形が際立っていて、あ、できればシリーズ化したいのかな?とか思いました。自分は大歓迎なのですけれども。著者の専門がまさしく印欧系言語比較学らしいですからね。

 次の作品が楽しみでたまらないです。

 ネタバレせずに感想書けたよね?