pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

何がなんやら

 先週始まったロシアとウクライナの戦争、フェイクとか両サイドのプロパガンダとか、個人レベルのものまであって状況が良く解らないです。情報社会になっても、やはり良く解らんものは良く解らんもので、市街戦が始まっているらしい、と、戦況が一進一退らしい、と、ロシアは激しい戦闘ではなく占領計画前提だったのではないかとか、そんなとこですかね、ぼんやり見えてくるのは。ロシア軍捕虜が演習だと思っていた、とか、悪名高きチェチェンの治安部隊が投入されているとか、首都の空港にいきなり空挺部隊ぶっこむとか、ウクライナの親ロシア感情をあてにしているとしか思えない状況がチラホラ。

 でも、Twitterで回ってきたたとえ話が秀逸で、ウクライナにとってロシアはDVで別れた元カレみたいなものって、ですよねー・・・DVが理由で別れた相手に、やっぱりDV振るって復縁って、逆効果ではないかしらん?

 とはいえ、同時代でも良く解らんものは良く解らんので、過去の事を調べるのは、より難易度が上がるよねー、と思いながら読みました。

 

 昔の庶民の記録は少ないです。どうしても識字階級は支配者階級に重なるし、彼らが記録に残すのは自分たちの視界内で、日常とは異なる事が多いので、普段の生活がどのようなものであるのかってのは、想像しなきゃならん部分も多い。そんな限られた状況で、残された古記録を網羅し、少しでも庶民から下級官人までの人々の記事があれば抽出し、読みやすくまとめられた労作です。TRPGや創作で平安時代を扱うなら、とりあえずこれ読んでおくと、それっぽくなるかもしれない。

 一応、平安京の名前になぞらえて平安時代と呼ばれ、戦乱の少ない平和な時代と著者もおっしゃっていますが、都が平穏だっただけで、地方の騒乱は結構あるし、火事、泥棒、強盗は頻発しているし・・・戦争がなかっただけで平穏といっていいのかなーっと思ったりします。特に、内裏内にも盗人が入り込む事が珍しくない都の空気は、なんというか、「これが日本の王権のあり方の特色である」って書かれているけれども、この緩さ、いい加減なところが身内意識のなぁなぁ気分の延長線上にある気がしてならない。

 って書くと、のんびりして弛緩した社会かと思うかも知れませんが、都の支配者階級の出世競争とか、下っ端官職の獲得競争は過酷で、一部の最上層階級以外はスタート地点も低く、また親の官位役職を世襲できず、本人の実力(儀礼をつつがなく遂行したり、実務能力、文芸、芸能能力、社交能力などさまざま)がなければ出世はおぼつかない。

 下級の官人たちならなおさら厳しく・・・時代は違えど下っ端はつらいのは変わらんなぁ、と。あと、科学の発達していない時代でも、その時代の中で人々は合理的には判断して生活していて、決して迷信深い訳でもない。現代人も毎日の占いに一喜一憂したりしていて、古代の人々と大して変わらない、ともおっしゃっています。まぁそうだよね。知識不足でも迷信を妄信する人たちはごく一部で、経験則で矛盾や非合理を感じればやらないですもん。

 他には、強姦事件の記事かな。被害に遭う人たちは庶民か、もしくは少数、単独で外出した中流階級までの女性が襲われますが、だいたい発覚すると加害者は処罰されます。刑罰はそれほど重くないというか、割と恩赦みたいな形でしばらくすると放免されるみたいですけれども、発覚した場合は泣き寝入りにはならないようです。やっぱり欧米の価値観が入ってきてからぢゃないですかね?女性の貞操のみに厳しい目を向けるようになるのは。そんな感じです。