pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

二か月遅れ

 よーつべに公開されたのは昨日の事らしいですが、講座が行われたのは五月の事なので。


www.youtube.com

 Twitter上、『夜』と現在名乗っておられる小泉教授の高校生、大学生向けの講座です。つまり分かりやすい。二か月前でも問題ないのは、ウクライナ・ロシアの戦況が一進一退を続けており、大きな戦果はロシア側が黒海のスネーク島(ズミイヌイ島)から撤退、つまり黒海の航路が僅かながらも開放された事、なんでしょうかね。これで細々ながらも輸送船が航行できるようになりましたし。

 詳しくはこの講義・・・二時間ほどあるのですが、ご覧になるのが一番なのですが、ざっくり言うと、薄々感じていたけど、やっぱりロシアって、こういっちゃなんだけど『古い体質』の国家なんだよなーっと。国家存在のアイデンティティが1945年、つまりナチス・ドイツ大日本帝国に勝利した事以外に求められず、そこに拘泥する他ない。

 あと、軍事力が全てを規定し、軍事力だけで国際関係を思考している、百年ぐらい前で止まっている感じ。というか、これもやはり1945年で時が止まっているような印象。なまじ資源が大量にとれるので、それを切り売りすればお金が儲かってしまうので、加工して、商品化して、という発想が乏しくなり、国内産業が育たない。これって効率化の罠かもねーっと思ったり。手間暇かけて財を作り出すという発想がないと、産業の裾野、つまり仕事が発生しない。経済規模が発展しないということ。その為、民生が貧弱で、巨大な、象徴的なものを生産する事はできても、それをつくる為の工作機械やら部品やらを生産する能力に乏しい。

 びっくりしたのが準惑星冥王星の表面積とロシア連邦の面積が同じぐらいで、それだけの広大な土地なのに、GDPが韓国と同じぐらいとという・・・韓国は北海道の面積にほぼ等しい人口五千万ぐらいの国なので、先進国と言えるけれども、人口は六倍弱の国でそれだけというのは、いかにロシア国民一人一人の経済力が低いのか、という事が分かります(そろそろ日本も韓国に一人あたりGDP抜かれそうだから、日本は相対的に貧しくなっているのですよ?生活水準は知らんけど)

 つまり経済力に見合わない軍事力を保持した国なんですよね。ソ連時代の『悪しき』誇りみたいなものが思考を縛っているみたいな感じ。今回のウクライナ侵略も十九世紀の汎スラブ主義から後退した汎ロシア主義とも言えるものだし、ロシア軍がウクライナを舐めプした侵攻をしたのも「民族的兄弟」ウクライナ人は国家ロシアと統一されるのを望んでいるという自己中な思い込みから始まっているし、何というか、あらゆる2020年代の国際常識が欠落していて自分の『世界』で生きてきた感じ。まぁそれを許し続けた国際社会の責任でもある訳ですが、だからこそ、そういう思考が通用する世界ではなくなっているという事を骨の髄まで、誤解する事無く、理解してもらわないといけないのですよ。敗北の原因を第一次大戦時にドイツに理解してもらえなかったから、こじれまくったナチス・ドイツなんてものを生み出す事になってしまったのですし。

 しかし専守防衛戦争だと、ウクライナはロシアの中枢部に進撃する事を国際社会から容認されない訳で(そもそもそんな国力もないだろう)、どのようにしてロシアにそれを理解してもらうのか、が重大な鍵ですよね。同じく『専守防衛』を掲げる日本は、今まさにウクライナがやっている戦争しかできない訳で、その意味でも日本が(こういうのはなんだけど)学べる事は多いのだと思います。

 そんな感じですので、お時間がある方はこの講義、ご覧になるといいですよ。