pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

今週の『鎌倉殿の13人』

 九死に一生を得た頼家くん。目覚めてみたら最愛の家族と、最大の支持勢力を失っていたという地獄の状況。色々気が付くけれども、その先に思いが至らず、至誠の御家人を自害に追いやってしまい、またまた株を落としてしまう。もういない方がいい人に。うはー・・・

 あとは一幡殺害を義時に命じられながら泰時の命で助けてしまい、そこでまさかの情が移って殺せなくなってしまった善児。あの、人の姿をした無機物のような男が、初めて人に見えるのですよ。命令を果たそうとして、自分に無邪気に手を振る一幡を殺める事が出来ず苦悩する姿に、人の姿を見てしまった訳で。

 自分、お話とか考える時に、職業的殺人者って一体どういう気持ちで殺人を犯すのかなって考えるのですが、たぶん殺害対象を同じ人間ではなく、ヒトの姿をしたモノとして捉えて、それを機能停止させるという意識ではないかなーっと思うのですよ。自分と繋がりない人に対して好悪も希薄だろうし。善児場合、命じられた殺害対象を、今まで躊躇なく殺してきた訳ですが、初めて「マテ」と言われて手元においていた最中に、自分に情を向けた一幡を、もうモノとは見れなくなってしまったのではないかと思うのです。トワは自身が暗殺者として育てた訳だけど、善児の場合は命じられて汚れ仕事をこなしていた訳で、そういう心構えとかも必要から取得していったのかも知れない。元々は大人しい、生真面目で主に忠実であるだけの男だったのかも知れない。そんな彼の『普通』の部分が呼び覚まされて、殺せなくなった・・・ようにも見えます。

 次週予告を見ていると、頼家だけでなく善児にも地獄が待っているような気が・・・

 ねぇ、『鎌倉殿の13人』の次回予告、銀河万丈さんにやってもらいません?「来週も小四郎と地獄につきあってもらおう」みたいな。

 んでこれ。

 

 この本の感想って書いたかなぁ?思い出せない(確認してから日記を書けよ

 鎌倉殿~の時代から半世紀近く先の話ですが、ドラマでは盟友の北条義時三浦義村、そのひ孫と息子の時代に結果的に北条家が三浦宗家を滅ぼす事件が起きます。位置づけとしては北条家に対抗できる最後の御家人の消滅なのですが、以前の大河ドラマ時宗』だっけ?前史として北条時宗の父時頼が不本意な結果として宝治合戦をやっているのですが、当時不勉強の私は「また大河が主人公をいい人に仕立てようと思って演出しているんでしょ?」みたいな目線で見ていたのですよ。

 ところがこの本で、北条家と三浦家、それぞれのトップは互いに抗争を回避しようと、優柔不断にも見えるほどに努力したにも関わらず、周囲の流れに逆らい切れず激突、三浦家滅亡になります。こういう本ってネタの古典や一次資料から「だいたいこんな展開だったのでは?」って論述だけで終わるのですが、珍しい事にこの事件を小説仕立てで物語っており、三浦家の中でも主戦派の当主弟光村の視点が重要になっています。っていうか何故北条家姻戚の立場よりも、『鎌倉殿』側近の立場を重視して北条家に抗ったのか、という視点。

 他にも鎌倉殿の最側近として立身した安達家が、北条家姻族としての立場で生き抜く事を選択した為に、その外戚の地位を三浦家と争ったというのも宝治合戦の側面でもあります。そんなに上手いとは思わないけれども、小説として表現する事で分かりやすくはなっていたと思います。

 最近、大河ドラマの影響もあってか鎌倉時代の研究物の出版が多くなって、嬉しいものでありますよ。