pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

マッツ・ミケルセン

 WOWOWが七月にマッツ・ミケルセンのプチ特集をしていたのですよ。知り合いにマッツ・ミケルセン推しの人がいて、名前は結構聞いていたので、見てみようかな、と。

 

 『イケおじ』マッツが『マッチョおじ』として主人公をやっているブラックコメディです。髭生えているし、太り気味のマッチョだし、まぁ『イケおじ』という役どころではないですが、海外派兵で長期単身赴任を強いられている、私生活では不器用な特殊部隊の隊長っぽい役柄。彼の留守中に妻子が鉄道事故に巻き込まれ、妻は亡くなってしまいます。それを規律とか平常心で乗り切ろうとする彼の下に、あれは仕組まれた事故だったのではないか?と言い出す学者たちが訪問。同じ事故の最中、亡くなった奥さんに席を譲ったその学者は、事故の前に高価なサンドイッチをろくに食べもせずに下車した男を目撃しており、それが関係者ではないか、と言うのだが・・・

 しかしこの学者たち、ちょっと軽はずみだし、オタク気質もあってコミュ障気味。ここがギャグパートになっていて、つまり、ハイテクを使いこなし、分析力もあるけれど、そもそもの前提が間違っていたというのが後半明らかになって・・・そこで『復讐』を心の支えにしていた主人公の折れっぷりが凄まじい。いや、解るけど。復讐相手と思っていたS気質の犯罪組織ボスの弟が、殺してしまった後に(そしてそれを復讐しにきた犯罪組織の連中も返り討ちの皆殺しにしてしまった後に)実は事故に関しては無実で、そもそも犯人か?と疑った人物は外国人で、デンマークの食事が口に合わなかったからサンドイッチを捨てただけで他意はなく、本当に列車事故だったという事実を知った彼の絶望が、素晴らしく表現されていました。職業軍人だけど好き好んで人殺しをしている訳ではない。妻を失った喪失感、思春期の娘の反発、そういったものに歯を食いしばって平静を装い耐えてきて、その爆発した先が無意味であった、倫理的に見れば非難すべき事だし犯罪でもある。その絶望と悲しみが一気に押し寄せたシーンが、とても好きでした。

 それ以外の登場人物たちの、頼りなさとか憎めない間抜けっぷりとかもあって。

 俳優マッツ・ミケルセンの力を見たかなー。

 

 こっちは最新スパイダーマンシリーズの主役が主役のSF作品。なんか海外の評価はいまいちのようですけれども、個人的にはそこまで酷くないお話でしたよ。まとまりがいいハッピーエンドだし。まぁ『イケおじ』マッツが演じる敵役の動機が、ちょっと弱いかなとは思いましたが、あんまり気にはなりませんでした。

 『アナザーラウンド』っていう映画の方が話題なのは知っていますけれども、内容が自分向きぢゃないかなと思ってみませんでした。そっちは情けない『イケおじ』なんだっけ?どうも自分が見たマッツ・ミケルソンさんは敵役イケおじ(ダニエル・クレイグの007シリーズでもそうだったナ)か、イケてないおじさんか、どっちかって感じで、個人的には凄く好きなんでけど。はい。

 TVドラマ版の『ハンニバル』でハンニバル・レクター役を演じていらっしゃるのですよね。機会があったら見てみたいですのぉ。