pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

忘れないうちに

 思い付きで録画して見た映画です。

 

モーリタニアン 黒塗りの記録 [Blu-ray]

モーリタニアン 黒塗りの記録 [Blu-ray]

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 老いても美しいジョディ・フォスターさんやなぁ、と。

 2001年の9.11でアメリカは復讐を求めていました。実行犯は死亡しましたから、それを命じたもの、企画したもの、関わったもの、全てを血祭りにあげようとしたのですかね。首謀者ウサマ・ビン・ラーディンの逮捕、あるいは抹殺というのは、まぁ解りますが、タリバンに関わった人々すら追及するというのは、今振り返れば怒りで正気を失っているみたいです。『モーリタニアン』という題名は、アフガニスタンの対ソ連戦に参加する為、タリバンの軍事訓練に参加したモーリタニアの青年が、その経歴で逮捕され(モーリタニア政府の得点稼ぎ臭い)、正規の尋問では米軍の望む答えを引き出せなかったが為に、ラムズフェルド(実名出しても構わないよね)が超法規的な処置、すなわち拷問による自白の強要を許可したという・・・

 こういう事に対して疑問に思うのは、アメリカは法律で拷問による自白強要は法廷での証拠にならないと決められているのに、それでも尚やり、そしてその資料が外部に出さざる得ない時には黒塗りにして見せない・・・つまり証拠として役に立たないものにしてしまう・・・意味あるのかい、これ?

 拘束が人権侵害である、として情報公開を求める側にも黒塗り資料を渡すのはともかく、味方である訴人にすら不十分な資料しか渡さず、それで死刑に持っていけって、やる事に整合性がない。怒りのあまりに正気を失っているとしか思えず、証拠にならない証拠では法廷で戦えないと指摘されると「裏切者」と罵る・・・

 そんな常軌を逸したアメリカ当局に、十四年も拘束されてようやく解放された『モーリタニアン』。同じ境遇のフランス、マルセイユ出身の人は絶望し独房で自死ししてしまった事を思えば、生きて解放され第二の人生を歩んでいるという映画の元ネタとなった人物は、前向きで希望を捨てずに、陽気に生きる事を選択した人のようです。解放された後に自身を弁護してくれた人々の一人と結婚し、子供を得て暮らしているというその後のエピソードが救いになります。

 訴人を下ろされた軍の法律家は国防省から法務省に移ったそうです。うわっ。やっぱり人間って感情の生き物なのね。たぶん国防省の人間にとって彼はずっと「裏切者」なのでしょうね・・・軍隊は特に組織意識が強いからなぁ・・・

 色々考えさせられる映画でした。

 しかし登場する女性キャラの中でジョディ・フォスターが一番美人に見えるのは・・・なんでだろ?(好みの問題?