pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

炎と血

 題名は読み終わった本ですけれども、一言、先日終わったサッカーW杯について。こんなにPKで決着がつく試合の多い大会も珍しくない?それだけ接戦が多かったのですねー。お好きな方々は血が滾ったでせう。

 さて本題。

 

 

 小説のシリーズ名は『氷と炎の歌』なのですが、それよりもドラマシリーズ名『ゲーム・オブ・スローンズ』の方が著名になってしまったかも知れないですね。小説本編では十数年前に滅亡し崩壊したターガリエン王朝の草創から順次歴代諸王の歴史を綴る、というのがこの本。

 史実をネタにした歴史物語は、解明されていく史実に追いつけず、今の自分にとっては小説家の物語よりも、研究者の研究の方が謎解き要素もあり大変面白く思っているところがあります。

 んぢゃあ架空の歴史物語は?と思うと、これって相当な知識と想像力が要求されるもので、自分は書こうとして挫折しました。はい。

 その点、ジョージ・R・R・マーティンさんはずげい。ほんとに年代記っぽい作品を書き上げている。この本はエイゴン一世から数えて七代目のエイゴン三世が親政を開始したところまでで、あ、こりゃターガリエン王朝終焉まで書きたいんだな、という内容。・・・本編完結していませんけど?せんせー、御年七十超えましたけど????

 あと読んでいて感じたのは、日本とか中国とかの通史だと、必ず安定期をつくった『名君』みたいなのを何人か設定して書いている「正史」が多いのですが(というか現代にいたるまでそういう感じ)、このターガリエン王朝の年代記はそういう設定からは開放されている感じ。四代目のジェヘアリーズ一世がそういう立ち位置とも言えますが、優秀でバランス感覚の優れた王ですけれども、ターガリエン王朝を盤石なものにしたという印象からは程遠いです。比較的有能な息子二人は戦死とかで先立たれているし、孫が継承しますがこれが出来が良くなく、男子継承か、長子継承かで争った「双竜の舞踏」という二系統の王族の戦争も、なーんか優秀な戦略家不在の、無様な殴り合いという感じ。映像化すると生えるでしょうが(現にドラマ化していて第一シーズンが終わったところかな?)ドラゴン同士の戦いも視覚的に格好いいけど、著述としては、だらけてしまうかな?

 やっぱり優秀な指揮官、優秀な戦略家不在の戦争は、先が読めない不透明さがあって、その不安がこの小説の魅力ですが、爽快感はないですね。ジェヘアリーズ治世が一服の清涼剤でした。

 この後のターガリエン王朝の年代記は・・・いつ出るのですかね?本編の続編もまだですかいね?