pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

読み終わったのは結構前

 エルリックサーガのコミック版を年末年始に読んでいたのですが、感想を書く機会がなかったので今日書きます。ネタがオワタとも言う(あ

 

 一巻が出てから結構時間が経過していますね。まさか出るとは思わなかった(オイ

 原作小説を読んだのはずいぶん前なのですが、そのうろ覚えの内容と、このコミック版では結構違いがあったりします。原作では無力なエルリックの恋人が、ラスボス然と自分のエルリックのライバルである自分の兄を使役させていたし、愛するが故に国と自分を放擲したエルリックを憎悪するという形に変わっています。また自分が読んだ日本語版だとそこまではっきり書いてなかったように思うのですが、このコミック版だと魔剣ストームブリンガーは完全にファムファタール位置。言葉遣いも日本語訳は女性的ですし、恋人からすればエルリックの力や命を与えている命綱ですが、エルリックを『寝取った』も同然な相手ですネ。

 振り返ってみれば意志を持ち、邪悪なまでに持ち主の命運を握り続けるストームブリンガーは、これ以上ない魔剣キャラクターですね。これを越える存在感のある魔剣って、ちょっと思いつかない。旅の間に何人もの恋人や友人と巡り会い、一緒に戦ったりするエルリックですが、その生涯を通して傍らに常にいるのはストームブリンガーであるし、友人や恋人たちは愚か、自身の破滅さえもストームブリンガーによってもたらされた筈。

 時系列最後のストームブリンガーの言葉が「さらば友よ、我は汝の数百倍も邪悪であった」だったような気がするのですが、これ、原語はどうだったのでしょうかね?そしてこのコミック版がそこまでたどり着いた時、一体どういう表現で描いてくれるのでしょうか。

 いやぁ、小説版ではヴィジュアル化されていない分、そこまで感じなかったのですが、自らの国を滅ぼし、国を守るドラゴンたちから艦隊が逆襲を受けて逃走する際、風の神・・・精霊?に念じて自分が乗る帆船だけに風を送って、遠征に協力した友を見捨てたシーンは、やっぱり愕然としましたね。こういう事をする癖に、くよくよと思い悩む。善人にも悪人にも徹しきれない『英雄』と呼ぶに憚られるエルリックという存在。好みのキャラクターでは、まったくないのに、何故か気になって購入しているというのが、自分にとって『魔物』みたいなエルリック・サーガの魔力なのかも知れません。