pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

チャイルド、マイルド、ワイルド~

 いや、なんとなく。読み終わったのがこれなので。

 

 

 電子版しか出てこなかったー。まぁいいですけれど。

 最期を見届けるような気持ちで購入し読みました。アニメ『幻影編』の後日譚という感じです。小説というよりもストーリーボードみたいな感じですかね。急激に成長し好奇心とともに知識を吸収し、超絶した能力を示し続ける『チャイルド』。その存在を権力者たちは放っておく筈もなく、監視されメルキアへ連れていかれそうになりますが、『神の後継者』たる彼はワイズマンの手の中にあり、その後継者としての資格・・・『性能』を試される。それが育ての親たるキリコとの・・・って感じ。

 個人的には『装甲騎兵ボトムズ』という作品は、TVアニメ版で幸せなラストを迎えており、その後に出た続編の数々はいかにキリコに過酷な運命が降りかかるか、そういう話でしかなくて、まぁツライのですよ。嫌いぢゃないけど(え

 思い返してみればキリコの嬉しそうな顔って、TVアニメ最終回の『流星』で運命の女フィアナとともにコールドスリープに入るシーンが最後なんですよね。そりゃそうか。あのキリコは二年という寿命しか生きられないフィアナとともに生きる為に、二人一緒にコールドスリープカプセルに入っていたのだから、これからずっと好きな人と一緒という希望に満ちた瞬間な訳ですよ。そのまま宇宙空間に放出されちゃったら、もう回収される見込みなんてゼロに等しい。今までさんざん運命やら『神』やらに弄ばれてきてれて振り回されてきて、ようやく得た安らぎなんですもん。物語としてはこれ以上ないハッピーエンドでした。

 しかしそれは続編アニメ『赫奕たる異端』で二人が偶然回収業者に拾われ覚醒させられてしまって破綻。最愛の人フィアナを失い、永遠に孤独でいる事を宿命づけられてしまった。この時に登場したテイタニアがキリコの心の隙間を埋めてくれるかと思ったけれど・・・グッバイだったもんなー・・・

 幻影編では、実は生き延び居てたワイズマンから『神の後継者』たる赤ん坊を託されて、彼を育てる余生で終わりかなぁ、と思っていたら『チャイルド』編ですよ。まぁある意味、これが『平和』と言えるのかも知れない。ワイズマンとキリコの綱引きが拮抗している状態。もう何十年も歴史関係の論文とか文章とか読んでいるといい加減、『平和』というものが敵対者の殲滅で達成できないものであり、他者との均衡によってしか得られないものではないかと思えてくるのです。生きている間、誰とも対立しない訳にはいかない。感情、利害、それらのぶつかり合いは根絶する事は出来ず、牽制と妥協、融和、といった均衡状態でしたか平和を実現する事はできないのぢゃないかなーっと。

 だからこの物語のラストが行きつく先ではないかと思うのですがね。高橋良輔も八十を越えられたし、物理的にこの方の生み出す『最後の』キリコの物語かなぁ、と。でもね、続き書いていいよ!!っていう感じでワイズマンとキリコの関係は残されているんですよ~。いや、それは難しいでしょう!!周囲を納得させるだけでも骨ぢゃん。罪な事をなさるのぉ・・・これも悪戯心かしらん・・・