pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

返却日

 今日、図書館から借りた本を返却しなきゃならないので、読み終わった本三冊の感想を一気に書きます。

 

 著者の方はライトノベルでブレイクされて、その後人口知性体とヒトの交流とかを主題にしたSF作品を書いていらっしゃって、この短編集もそうした感じ。ただし『人間性』に関わる主題の短編集。

 デビューがライトノベルなんですけれど、アタクシが最初に読んだのは『あなたの為の物語』だったかな。それでそのハードな物語が気に入って、ライトノベルでブレイクした『円環少女』のシリーズを完読して・・・ん?と思ったのですよ。でも二十代の作品だから、そういう風なのかなぁと理解して、次に『BEATLESS』を読んで、やっぱりこういう文章表現の方なのかと思ったのですが、この作品集で自分なりに答えが出たような気がする。

 ライトノベルSF小説を分かつ線があるとするならば、ライトノベルメソッド、あるいは様式というものがある。

 なんとなーく、そんな感じでした。『円環少女』シリーズはもちろん『BEATLESS』も確かアニメ雑誌系に掲載されていた作品で、感覚としてはライト系。『あなたの為の物語』はAI開発者の女性が無様な状況で人生を終える描写から始まる、なかなかハードなもので、今回読み終わった短編集も具体的な解決法が示されない物語もありました。特に『父たちの時間』は雄という存在への、父親というものへの疑義みたいなものを感じました。つまり、重い。

 別にライトノベルの内容が軽いという訳ではないのですが、過酷な展開になってもどこか安全装置のようなものが用意され、救済処置が取られているような気がするのです。SF小説の方は、明らかなそれは用意されていない。『父たちの時間』などはまさしくそうで、明るい未来は何処にもなく、主人公は自分がロクデナシの夫であり父親であった事を自覚し、危険性を顧みず利便性を追求した科学の産物が新たな脅威を生み出してしまい、その雄型に自らを投影するような感じで終わっている、ように感じました。

 同じ作家でこんなに異なる読感を感じるというのは、作者が上手いのか、それともライトノベルメソッドの存在を疑ったりして。まぁ過酷な運命のまま終わるライトノベルも読んだ事あるので、余計にライト系とハードSFの境界は曖昧かなぁと思ったりしたり。

 そんな事を思いました。

 

 もう千字超えている。慌てよう。古代史スキーなら蘇我氏と並ぶ古代の雄族で古代天皇家の『忠臣』だけど外来宗教である仏教対応で蘇我氏と対立。皇位継承で負けて衰退というストーリーですが、まず物部氏蘇我氏と同じく継体天皇期以降から大王家に従う存在らしく、それ以前の記録は『古来から大王家に仕えていた』アピールだと。仏教受容は国家方針で中枢にいた物部氏も当然賛成していた。物部宗家は皇位継承争いに敗者側に加担した為、推戴したけれども、その後の律令体制になった後も石上氏などは中央政権で活躍している、と。

 初めて知ったのは古代の皇位継承において父方母方ともに皇族である皇子が、母方が豪族出身の皇子よりも優先され父子継承が望まれるのに対し、母方が豪族出身の皇子は中継ぎの見なされる、という説。その見方だと推古天皇も中継ぎと見なされるらしいけれども・・・ええっと中継ぎで三十年以上も在位するものなのかね?まぁ皇位継承最有力者と見なされていた厩戸皇子が壮年期に亡くなってしまい、皇位継承するに相応しい壮年期の皇族がいなかったから、という説も成り立たなくもないけど。当時は四十歳前後の政権中枢経験者が大王に相応しいと認識されていたみたいだし。

 まぁ相変わらず古代日本史はわかんね、というのが率直なところ。

 

 最後は『万人恐怖』と言われた室町第六代将軍、足利義教が赤松宗家に殺された事件を扱った本です。まぁ『応仁・文明の乱』の遠因とも言えるのですが、それよりも気になったのは!!筑摩書房の編集さんや校正さん(外注かもしれない)も温い?という事かな。誤字が目につく。致命的なのは『弟』と記すところを『子』と書いているところ。チェック甘いなぁ・・・なんて残念な・・・

 そんな感じでした。