pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

読み飛ばしながら読み終え

 『修道女フィデルマ』シリーズの本を読み終えました。

 

 前巻で戦争になったモアン王国内の国王と大族長が、大族長側が代替わりしたのを機に和睦をする事になったのですが、王都に大族長が入城するタイミングで両者を暗殺しようとする弓矢が飛来。大けがは負ったものの両者命に別状はないのですが、互いが互いを狙ったんぢゃね?という疑惑のもとに険悪な状況に。

 一応『法治勢力』たるアイルランド五王国は、互いの勢力の弁護人に事件調査をさせ裁判で真相を明らかにし、紛争を調停するという制度があるので、モアン国王側は王妹のフィデルマが弁護人となって調査を開始します。

 ところが大族長側の戦士がなーんか、その邪魔をしようとするし、モアン王国を象徴する聖遺物を殺された暗殺者が持っていたり、その調査に聖遺物を保管しているモアン王国のキリスト教本山である修道院に行ってみたら、聖遺物は管理者の修道士とともに消えているわ、そこにある王国の象徴であるイチイの巨木が襲撃者によって切り倒されるわ・・・なんとまぁ。

 事態はもつれ錯綜しますが、解き明かされれば・・・バカな男が野心に飲み込まれ、バカな事をしでかした、という犯罪物によくある展開でした。犯罪物では犯罪者は愚か者という展開が定番ですから・・・政治劇なら仕掛ける側にもある程度の肯定的な理屈なら理由なりが存在するものですけれども、犯罪者に同情できない物語になっていくのは必然か。

 それよりも興味深かったのは、対立する大族長側が自分たちは無罪でモアン国王が有罪だと主張する時は無茶苦茶陰険で嫌らしく自論を展開するのに、相手側弁護人のフィデルマによって無罪が証明されると、途端に大人しくなって嫌味も言わなくなるというが・・・現金だなぁ、と。

 まぁ法廷物ってこういうものかもね。法廷では感情論で激しく争っていても、それは自陣に有利な議論に持っていく為の技術であって、法廷やら問題やらを離れたら、そんなものは別に関係ないって事なんですかね。

 あとはフィデルマ、面倒くさい女だなぁ。それを相棒のエイダルフに求めるのは酷かと。アイルランドカトリックは上級以外の聖職者の結婚を認めているけれども、彼は聖職者全般が独身である事を推奨・・・いや強制すべきって考えているローマ・カトリック宗派に属しているんですもの。前提条件として自分からその発想は出てこないんぢゃないかなー。

 さぁて次は短編集をやっつける事にしますかね。