pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

母の死

 明日が通夜、明後日が葬儀なので、たぶん両日とも日記を書くような余裕は・・・あるかも知れないけれどもないと思うので。

 6/12(金)に緊急搬送されて以来、当初は楽観的だった母の容態が、処置を繰り返す度に悪化していき、とうとう今日の午後0時過ぎに死亡診断が下されました。

 子供の頃から心臓が悪いとか、聞いていたと思うのですが、身体の異常を訴える時にそこまで心臓の事を訴える事がなかった為、また全盲になりつつあったこの数十年間は激しい運動を行ってこなかった為、そこまでの障害とは考えていませんでした。高血圧とか糖尿病とか、そういう類いの生活習慣病だと。

 しかし病院で心臓への処置を行うと脳梗塞の症状が。それを解消しようとすると血圧が、出血が。それを解消しようとすると・・・という症状の悪化と処置のイタチごっこが始まり、今日のお昼に容態が悪化した、という事です。

 ちなみに母親の父、つまり自分から見ると母方の祖父は重度の糖尿病で、四十八・・・今の自分と同じ年頃に脳梗塞で倒れ、当時最高水準の脳外科医にかかる事ができたので一命を取り留めて、六十八で亡くなりました。たしか。

 母親が病弱というイメージはないのですよね。父親は若い頃から風邪っぴきだと言っていましたが、母親が風邪で熱を出した事は、老年になるまでないし、老年になっても風邪で寝込んだ事はないです。全盲更年期障害が重なり、鬱となって五十代後半には精神的に荒れていました。全盲のタイミングで自宅を建て直した事もあり、彼女にとって自宅は未知の空間になってしまいました。階段から転げて頭を切った事、すねて自宅に一人でいた時に尻餅をついた勢いで腰の骨にひびが入った事。そして今回。考えてみれば三回救急車のお世話になっています。前の二回は怪我ですし仕方ないかも知れないけれど・・・

 心臓への負担とか考えずに食べる事を楽しむ・・・というか、何か満腹中枢が壊れているのか?というぐらい間食をとる事もありました。そのせいで食事が取れないとか。父親やアタクシが酒を飲むと飲みたがり、「強くなった」と言って飲み過ぎて、ぐでんぐでんになってしまって後悔するとか。発作を起こす前も飲んでいたなぁ。お陰で太っていました。心臓への負担を考えたら食べる量をコントロールするものですが、全盲の彼女の趣味はほとんどなく、点字は図書館の点字冊子が読み取れなくてやめ、自宅を建て替えた時に庭に、沈丁花、梔、金木犀と春、夏、秋の香りの強い草木を植えてみたけど興味を起こしませんでした。何かの一つ覚えで嫁いできた時に持ってきたのか、自分で購入したのか、アマリリスの花だけは毎年咲いたのかと気にしていました。鮮やかな赤い花ですが香りがなく、昔頼まれて摘んだときに茎からにょろりと、ナメクジが出現したので、どうにも自分の中ではアマリリス=ナメクジのイメージが強いです。

 彼女の思い出はどうにも、食べる事と、アマリリスと、ドジなこと、底の浅いマウントをとりにきて、こちらから指摘されて間違いを認めると萎んでしまうこと。躁鬱が激しいこと。彼女のつくった餃子とコロッケがとても好きだったこと。そんな事でしょうか。

 あかん。自分は彼女に対しては冷たい人間だと思っていたのに、書いているうちに涙がたまってきた。彼女の事は『ジャバ・ザ・ハット』と『猪八戒』だと自分の中では感じていました。その容貌がジャバさまを連想させ、際限なく食べてしまう事に猪八戒を連想します。

 さようなら、母。食べる事だけじゃくなて、他の事にも興味を持ってくれたら、もう少し人生楽しめたのではないかと息子は気がかりでした。