pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

読む気になると一気に読み終える

 新書版のいいところは、そういうところですかね?

 

  まずもって、ナイジェリアという地域、国が古来より存在した訳ではなく、経済的な求心力の大小によって、大小さまざまな王国が興亡を繰り返していた地域、しかも北部のサハラ砂漠に沿う地域はイスラム、沿岸や流域地域はアニミズムと、宗教や文化も異なるし、民族的にも一様ではなく、少なくとも五本の指で数えられる以上の民族が存在します。つまり、この地域を植民地とした欧米の都合によってできた国であり、今現在でも北部、東部、西部に分離独立したいという勢力と、現在の連邦制を維持したい勢力がせめぎ合っています。

 国の経済は農作物と鉱物資源、特に鉱物資源の収入が大きく、今後この国が更なる発展を遂げるためには今現在の収入をいかに他の産業分野育成に回す事ができるか、にかかっていると言えます。UAEみたいに観光や宇宙産業への転換が上手くいけばいいけれども。

 今現在は安定しているみたいです。大統領とか首相とかが任期終了を待たずに暗殺とか、クーデターで政権交代とかは、起こっていませんが、では問題がないかと言えばそういう事はなく、上記のように宗教的、文化的な対立、民族的な対立は存在し、アフリカの大国ではあるが、アフリカ諸国がナイジェリアの正の影響力を信じていないような状況。国としての求心力を維持できるかどうか、それは今のところ経済的な成功ぐらいしかないような気もするのですけれども、そういうところにかかっているんだなぁ、と思いました。

 

  そういえばこの人の評伝をちゃんと読んでいなかったような気がしたので。

 読了して思った事は、想像以上に軍功の乏しさを気にしている。関ヶ原の遅参は、どうも「急がなきゃ」って軍勢を置いて少数で駆け付けた事が家康にとって気に入らない事であったらしく、未だ戦闘状態で危険であるのに、万一家康の身に何かあれば徳川家を背負って立たねばならないのに、混乱の中で戦死、なんて状況になりかねない少数移動を決行してしまった事らしいです。率いる軍勢とともにやってきたら、彼自身も比較的安全だし、万一関が原合戦後に豊臣恩顧の武将たちが家康と対立してしまっても徳川主力軍の存在感で交渉も有利に、開戦になっても互角以上と戦いになれる。つまり選択肢が増えるのですが、経験に乏しい秀忠くんは、それがお分かりになっていない。

 軍功を気にしていたというのは大坂の陣で秀頼に嫁いでいる娘千姫の身を案じる事なく、戦に逸って突出しようとするところにも出てます。

 この人が、もう少し軍事経験を積んでいたら、その後の歴史も変わったかも知れない。

 性格的には律儀であり荘重さを好み、つまり徳川家の秩序を構築する役割を担うものとしては打ってつけであったと思います。

 そんな感じ。