pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

運よく見たけど

 『Gのレコンキスタ』二作目を見れました。見ていて飽きないし面白いけど、セリフ回しとかシナリオの流れとか、富野節だなぁ・・・と。特に主人公とヒロインの親たちがやんちゃに過ぎる。社会的地位も責任も半端なく高い人たちなのに、これはどういう事やねん。あと部下を恣意的に動かすとか・・・私兵?対立の構図もまだすっきりしないですねぇ。三作目、運が良ければ見れるかしらん。

 読み終えた本はこちら。

 

 ですます調の文章って読みにくいよな、というのが最初の感想(オイ

 表題を見るとイングランドって今もあるやん!!って突っ込みを入れたくなりますが、王家の認識では自分たちの始祖は『ノルマン・コンクエスト』でイングランドを征服したノルマン王朝としており、それ以前のアングロ・サクソンやデーンの王家と区別しています。この本はそういう『滅ぼされた』イングランドの事を扱っています。

 ノルマン王朝以前のイングランドヴァイキングからの略奪行にさらされ、それを撃退できた者がイングランド全土の王となり、それができなければ有力者が半独立したり、デーン人の王に征服されたりという事の繰り返しで、中世前期ですからね、組織も未熟で個人的力量次第で平和だったり戦争だったりが繰り返される時代です。

 なのでアングロ・サクソン人主体の王国だけど、ざっと見る感じこの時期一番安定したのは征服者デーン人のクヌートが支配していた時期だけ、とも言える状況。アングロ・サンソン人がー・・・というよりも、その他の王の個性が(臆病でやることなす事裏目とか、放蕩とか、少数派の外国人重用で不満が広がるとか)イングランド支配を不安定にしたという感じ。

 最後のアングロ・サクソン人の王、継承は血統というよりも賢人会議の決定であり、身内にも我儘で我意を通したために追放されて、それを恨んでノルウェー王の侵攻を手引きしたりと、いまいち弱かったり恵まれない点がありましたが、戦士として、武人としての能力は高く、本命の征服者ノルマンディ公のフランス勢が風待ちでなかなか渡航してこず、その為迎撃に集めた軍勢を解散した矢先にノルウェー軍に北部で侵攻されたとき、僅かな手勢しか手元になかったのですが、これを苦戦の末撃破。そして風を得て渡航してきたノルマンディ公の軍勢に数日で取って返し、兵力もそれなりに招集して迎撃に向かう。しかも地の利を確保して丘の上を確保し、歩兵の大盾兵が主体の為、防御戦法しかとれませんでしたが、ノルマンの攻勢を凌ぎ続けます。ノルマン側に攻撃の軍勢がなくなった頃合いを見て丘から降りて突撃しますが、そこで乱戦になってしまい、ノルマン側はノルマンディ公自身が兜を脱いで素顔をさらして健在ぶりを示して立て直しますが、アングロ・サクソン側は王が戦死。この一戦でアングロ・サクソンの王国の運命が決します。アングロ・サクソン側の誤算は、クヌートのように外国からやってきた王は結局在地の支配構造を残すだろうと高をくくっていたのが、ノルマンディ公は支配階層を総入れかえしてしまいます。単発的な反乱は起きますがノルマン側に全て鎮圧され、ここに支配階層は完全にノルマン・・・フランス人となってしまいます。

 国の支配階層が丸っと変わってしまい、その後英仏百年戦争で英国側支配者のフランス領地が失われて彼らが英国に帰化せざる得なくなるまで、イングランドはフランス人に支配される国になった訳で、その意味でアングロ・サクソンの王国イングランドは消滅しました。

 著者は最期のアングロ・サクソン王に対して深い思い入れがあり、敗れ去った英雄として、その死を悼んでいまして、それがこの本を書いた動機かなぁ、と思います。

 まぁ軍事的才能があろうと、それを支える人々が積極的に支持、支援しなければ何ともならないという話でした。はい。