pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

続編だと思っている

 先日日記に書いた『メソポタミアとインダスのあいだ』という本の続編・・・もうちょい踏み込んだ本だと思いました。

 

 てっきり同じ著者かと思っていました(読むだけで、あんまり覚えていないという事実がバレる)。ところが読み進めていくと『メソポタミアとインダスのあいだ』の著者は鬼籍に入られている事が判明・・・うはーん。今回の本は2022年、前回取り上げた本は2015年・・・そっか。かなり年数が経過していたのね・・・

 さてディルムンというのは現在はバハレーンの比定されており元々天然真珠の産地として栄えたところ。それが南メソポタミアの混乱期にアラビア湾海上貿易の中心地になり経済発展をし、二百五十年ほど繫栄しますが、メソポタミアの支配勢力が巨大に、ティグリス、ユーフラテス流域のみならず地中海沿岸部、キプロスの銅を交易によって入手するようになると状況が一変。急速に衰退していきます。ディルムンの主な交易品はオマーンの銅だったので、おそらくキプロスの銅の方が流通しやすかったのですかね。

 他にもディルムンの強みはインダス経由で入ってくるアフガンの錫で、青銅をつくる為には錫が必要だったからなのですが、鉄器ってアナトリアで発達したんだっけ?そっちから青銅よりも使いやすい鉄が入ってきたら、錫の重要度、下がるよなぁ。

 面白いな、と思ったのが残された遺跡からディルムン=バハレーンの住民、西メソポタミア遊牧民と文化的な共通点があって、おそらく気候変動で困窮した遊牧民が天然真珠の産地に活路を見出して移住したのではないか、という説。現バハレーンの君主家もそうやってやってきた元遊牧民で、ところがその経済基盤は日本で養殖真珠の技術が確立されてから破綻。安価な養殖真珠に天然真珠はやられてしまったのでした。だからその恨みがあるから今でもバハレーンでは日本の養殖真珠は禁輸品なのだそうです。

 意外なところで意外な因縁があるものです・・・ミキモト、意外に罪深い。

 もう一つ、先ほどの錫の産地アフガン北部からウズベキスタン南部、トルクメニスタン南部に『第五の文明』と言われる古代オクサス文明が存在するとか。初めて知ったので詳しい事はまったく判らないのですが、これ、古代文明に大河必須という固定観念が覆されたって感じで興味深いですね。今のところ錫とラピスラズリの産地ってぐらいしか知らないから、関連書籍を見つけたら読んでみたいです。