pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

ミステリーというより、おとぎ話

 そう思っているのが『階段島』のシリーズで、二作目を読みました。

 

 真冬の話を真夏に読んでしまた。まぁいいか。このシリーズって「心を穿つ青春ミステリー」という宣伝文句がついているけれど、苦味を感じるけど、青少年の心に試練を与えてくるような物語だけど、穿つ・・・穴をあけているかな?ヒビは入るだろうし、考え方が変わっていくだろうけど、どうなんだろうね?

 あとミステリーよりもおとぎ話と感じるのは、設定もありますが、主人公が仕掛け人の位置にいて、皆が幸せに、少なくとも傷つかないで済む事を望んでいて、汗かいて、ややこしい仕掛けを考えて、まぁ苦労しているなぁ、微笑ましいなぁ、とか思うのです。んでも、いずれこの箱庭の『楽園』から出なければならない時がくるだろう。その時、どんな物語になるのか、と人の悪いアタクシは思う訳でござりますよ、はい。

 こんな風に考えて人にクリスマスプレゼントを贈るなんて、してこなかったなぁ。妹と贈り合う事を子供時代に提案したけど、「お互いに欲しいものを自分で買ってお金だけ渡せばいいぢゃない」という考えに達した瞬間、「それは自分で買うのと変わらない」という考えにいとも簡単に達してしまい、プレゼント交換はナシに。なんてドライな兄妹・・・しかし我々らしいと言えば、我々らしいなぁ、とか思い出しました。

 

 勝海舟は有名ですが、同時期に活動していた幕臣で『舟』を雅号?に使用している三人という事で『三舟』と称されているのですが、他の二人についてほとんど知らないなぁと思い借りてみました・・・が、著者のスキスキ度が抑揚されておらず、「すげぇでしょう。すごい人なんですよ」と言われてドン引きしながら流し読みしてしまったような感じ。

 自分からすると「あの時代に活躍した数多のフィクサーたち」とくくってしまえるかなぁ、と。表看板というよりも潤滑油という立場ですかね。『江戸城無血開城』のエピソードは事前折衝で山岡鉄舟西郷隆盛が汗かいた結果もたらされたもので、勝海舟一人の手柄ではないよ、とか。高橋泥舟幕臣でありながら、どうも公家枠の官職をもらっていて朝廷から信認が厚かったとか(伊勢守に任じられたらしいけど、武家枠だと国主クラスぢゃないともらえない職ぢゃなかったっけ?と思ったので)、明治に入ったら泥舟は他の徳川宗家家臣とともに静岡県に移り、士族の開発事業に携わったとか、鉄舟は官僚として活躍し、しかし息子の育成に失敗して華族としてはおとり潰しになったとか、まぁ勝海舟ほど華やかな経歴ではないので、有名にはならなかった、という事ですかね。やった仕事って言うたら鉄舟・泥舟も重要なのに。

 知名度って研究者を含めた『マスコミ』の声の大きさが重要なんだよねぇ、とか思いました。しかし著者のその思いが強い。学術論文では書けない事を一般書で発散した感が強くて、ええっと、御免、そういうのは望んでいなかったんだ・・・