pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

忘れないうちに

 読み終わった本のこと、忘れてしまう事もあるので(健忘症?認知症?)、忘れないうちに書かないといけませんよ、はい。

 

 ずっと表題が謎だったのですよ。ブレイドは刃、剣の事なので、冒険者が迷宮探索する話なんだから、近接職は全員刃を持った武器を装備していると言っても過言ではないから解るのですが、バスタードって直訳すれば「私生児」ですよね。明確にその生い立ちが語られる登場人物がいないよなーっと思っていたら、でました。そういう事かい。

 同時に物語の前座ボス・・・主人公のサムライ野郎が蘇生前にぬっ殺された相手らしい奴、それが迷宮の奥に鎮座するのは何かを訪印しているからって事も察せられました。しかし・・・この流れだとサムライ野郎、ラスボスになるんでないかい?迷宮の主になりたいってのが究極の欲望なんでしょう?んで、アレがどうも英雄の血を引く奴らしいから、最終的には仲間と戦うのがクライマックスなのかしら。

 どうなるんでしょうね。

 

 この方のイラストって、結構はまってしまうのですよね。物語のチョイスも好みで苦みが感じられるので。昔話の題材って、こういう後味の悪さが舌に残るような話の方がいいのでよね。だから本放送の頃の『まんが日本昔ばなし』は好きだったけどDVD媒体になった途端、子供に見せたい、灰汁が抜けてしまった話ばかりの選択になってしまって。ほんわかしたキャラでもエグイ話ならそのまま、そしてエグイ話とハートフルな話も並べてくれると、ハートフルな話の価値が上がるのではないかなぁ、とか思うのですがね。

 つまり、この本はエグさと、ほんわかが並んでいるのでいいバランスだという事です。はい。

 

 興味があったので購入しました。この本を読んだ後、シリーズであと二冊読んでいるのですが・・・この著者の方と比べると筆致がより世代が上、アマチュア色が強くて驚きまして、ああ、このシリーズは郷土史家さんの著作を冊子化したものなのか、だからなのか、と今更に合点。

 この本に関しては小弓公方っていうニッチな関東の勢力に関して語っております。室町時代、関東を統括していた鎌倉公方の系譜を引く古河公方、その内紛で生まれたあだ花って感じなのが小弓公方足利義明ですかね。元々は鎌倉の鶴岡八幡宮別当の『雪下殿』として、関東の宗教界に君臨する立場を求められていたのですが父足利政氏と兄足利高基の争いで、最終的に主導権を失った父親側につき、その政治的後継者となって兄高基を支持する勢力と対立する勢力に擁立される形で、房総半島に勢力を築きます。

 この方の前著(なのか?)上総介広常の時にも思ったのですが、房総半島って中世では生産性の高い地域みたいですね。平野は少ないですけど江戸時代の水利工事が行われるまで平野の生産性はそんなに高くなく、水源に近い谷戸での方が、現代の感覚だと川の上流域の段々畑みたいなところの方が良かったようです。それに鉄、木材も取れるので経済的には比較的豊か。だから様々な勢力の思惑が小競り合いを生み不安定になっていた、と。

 この勢力の目的は古河公方勢力の打倒ですが、しかし在地勢力からすれば自分たちの権益を守ってくれるならば、小弓だろうが古河だろうが、どちらの勢力でも構わない。その点を足利義明は見誤ったのかなぁ、と。彼らが滅亡した国府台合戦。力戦したのは彼らの旗本のみであり輿同勢力で出陣した里見氏は参戦せず撤退しています。敵対した北条氏綱も、奉じる足利晴氏(義明甥)の命に応じ、江戸湾制海権を得る為に、そして結果論ですけど、この合戦の勝利を梃に晴氏に娘を嫁がせ、晴氏と距離を置いていた山内上杉氏に代わって関東管領になり(本来の関東管領は室町将軍の任命なので、これはちょろりと正統性に問題がありますが)、関東の覇者として文句を言わせない家格を手に入れた事になります。

 足利義明は扇谷上杉氏と結んでいましたが、その扇谷上杉が北条に押されて退潮気味というのも大きな要因かも。

 結果的に彼らの滅亡が小田原北条氏躍進のきっかけになったと言えなくもなく、その意味では重要ですかね。はい。