pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

ハプスブルグ帝国

 そういう題名の本を読み終えました。

 

ハプスブルク帝国 (講談社現代新書)

ハプスブルク帝国 (講談社現代新書)

 

  ハプスブルグ家の通史ってうんまりないよねーって事で、本屋さんに並んでいた時から気にはなっていたのですが、本棚があふれている最近なので図書館で借りて読めればいいなぁ、と考えていたところ発見したので借りました。

 ハプスブルグ家が神聖ローマ皇帝を輩出したシュヴァーベン家与党として勢力を拡大し始めた頃から始まって、第一次大戦の敗北、そして私人としてヨーロッパ統合を働きかける現代のハプスブルグ家の事まで書いてあるのですが、まぁ現代で彼らがどういう立ち位置を選んでいるのかは、ともかく、『諸民族の牢獄』という酷評は過去のものですが、とはいえ『EU先取りした』というのは好意的過ぎる評価ですよね、たぶん。

 自分の考えでは『ハプスブルグ帝国』というものは単なる一家族の家産集合体を国家としてまとめようとしたところに問題があると言うべきで、別にドイツ人が他の民族を圧倒した訳でもないのに、総人口の25%すら割っているのに支配民族面しているところ、かな?『ハプスブルグ家郎党』という階級、身分を設けて外交、軍事は『ハプスブルグ家』が担い、各国が内政や自治を担う。『ハプスブルグ郎党』という名の身分にならなければ官僚、軍事にはなれない。しかし『ハプスブルグ帝国』の発展や『ハプスブルグ家』に貢献したものならば、どんな人種、宗教に属していようともなれる・・・とかいう古代ローマを参考にしたようなシステムでなければ、遅かれ早かれ空中分解するシロモノではあったでしょう。

 自治に関しては各国はそれなりに満足すべきレベルだったようですが、外交、軍事の足並みが揃わず、他の『国民国家』に比べると非効率極まりなかったようです。

 これからも研究が深化していくと、面白い分野ですよね。