艦これイベント中は、読書がすすみます。もう今回のイベントは自分としては終了したので、アレですが、読み終えた一冊です。
なんやら評価が高いようだし、それに物語が第二次大戦中のアメリカ空挺部隊の特技兵、いわゆる兼業コックたちのものとなると、興味が沸きましてね。兼業コックが探偵役となって、中隊で起きた不可思議な事を解決していく話・・・かと思っていましたが、もちろんその要素もありますが、物語の主眼は『善良な』アメリカ人から見たヨーロッパ戦線でした。最初っから苦戦するし(空挺部隊は敵中降下して奇襲、相手の退路を断つような役割が多いけど、裏を返せば敵中に孤立する確率が高い)、戦友は一人、二人と死んでいくし、ナチス・ドイツの行為だけでなく当時のアメリカが抱えていた不平等な社会問題も語られます。戦地のフランスやオランダ、ベルギーでも、『解放』軍として連合軍を歓迎する一方、ドイツ軍協力者に対する陰湿な仕打ち、連合軍側にも捕虜を取らない残虐性・・・ま、軍隊なんて、どこもやっている事は同じだよね。
地獄の東部戦線に比べれば西部は・・・と思っていたのですが、戦場がそんなおままごとで済むはずもなく、『マーケットガーデン』作戦の失敗、バジル戦だったかな?連合軍の突出部に対するドイツ西方での最後の反撃で多くの死傷者が出ます。そして孤立する。うひゃー。
申し訳ないけれども、自分はこういう話が好きなんです。『英雄』ではない人々が、運任せもありながら必死になって生きていく姿が好きなんです。最後の仕掛けも、ある意味伏線の回収で良かったです。
自分はあんまり戦勝国側の回想録って読んだ事無いのですよね。負けた側の方が嬉しい事だけぢゃなく、悲しいこと、悔しいこと、不条理、組織の腐敗、そんなものを赤裸々に書いてある気がするのです。あ、でもペリリューと沖縄戦の米軍兵士回想録を読んだ事がありますね。巡洋艦インディアナが沈み、海軍の手違いで救助が遅れて、艦長がスケープゴートになり、終戦二十年ほどで自殺してしまった話とかも。
英雄譚は入門としてはいいと思います。でも実態を知ろうと思ったら、こういう泥臭い話の方が、当たり前だけどいいですよね。戦争なんて、汚い話ばかりだもの。だから『当たり前のいい出来事』に感動しちゃったりもする。
とか書きながら、、この話はノンフィクションを舞台にしたフィクションですけどね。