pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

官僚のこと

 昨日のギリシャ民主政の話で、行政を実施する役人のことを書かなかったのですけれども、アテナイでは市民から抽選で選び、一日の生活費の六割ぐらいの日当で一年交代でこなしていたらしいです。こうすると利権や押し付けがおこらず、また市民は日常的な行政業務を体感、理解すると。そんなもんかなぁ、とも思うし、一年交代で抽選だから贈収賄をある程度防ぐことにもなるか、とも。

 それとは真逆、とは言わないけれども、まるで事情が異なるのが古代日本の官僚でした。

 

 古代ギリシャってほぼほぼ外敵との戦争ばかりの世界で、危機管理とか防衛とかを日常茶飯事なんですけれども、日本って国は過去数千年、外敵と戦った事が数えるほどしかないという稀有な立地で、古代において最大の危機が隋唐の中国統一と新羅朝鮮半島統一。日本は新羅と対立した百済を支援し、唐・新羅連合軍と戦って大敗を喫しました。次は彼らが攻めてくるかも知れない。その危機感から中国の律令制を取り入れた国家づくりを開始する訳ですが、律令国家って三国の曹魏屯田制を淵源に持つ、国民皆兵制だったんですねー・・・気づかなかった。皆兵は言い過ぎでも住民を管理し、効率よく税も労働力も収奪し、兵力を確保する体制ですので、豪族連合体でしかない当時の日本としては、別次元の組織です。これはもう模倣するしかない!!徐々に徐々に取り入れて奈良時代にひとまず完成を見る訳ですが・・・最初から根本的な問題が。

 役人を確保できない。そりゃそうだわね。識字率が低い時代、読み書きできるのは富裕層であり、貨幣経済未発達の時代において富裕層は地主、大規模農業を営む人々であり、別に食うに困っている訳ではない。メリットと言えば免税権。それさえもらえれば仕事を真面目にやる必要はない。給金は年に二度まとめてもらえるからその時に出ていくぐらいのもの。宴会?終わる時に下賜されるものだけいただきにあがりますわ。たとえ主催者が天皇その人の宴会であろうとも。

 体制だけ整えてもあかんという事ですね。それを支える官僚、役人を育成しないと形骸であるという事ですわ。まぁ徐々に徐々に教育された人々も増えていきますけれども、なんというか、最初にできた、ゆるーい空気はその後も改まる事なく、政府の方も罰則を厳しくする事はなく(死刑なんてほぼほぼなし。大概罰金刑とか給金没収とか、そんな感じ)、平安末期までそんな感じでやっていくのだから、緊張感がないというか、緩いというか、辺境での兵乱を除き、大規模な『戦争』がいわゆる『源平合戦』までなかった国だから、こんな感じなのかも知れませんねぇ。