覚えていたので書くです。
イランの核施設爆破のシーンから始まります。CIAの指令室は喜んでいるけれど、MI6からの出向みたいな現場工作員の主人公としては特に感慨もなく、関係が壊れてしまった妻とか、娘の卒業式の事が大事・・・なので急いでイギリスに帰国しようとしますが、CIAの知人から是非にと協力をせがまれ、娘が医学部進学を希望している事もあり、その学費を稼ぐために承諾する事に。
ところがその移動中に、核施設爆破の件がジャーナリストに暴露され、本名はともかく顔写真は公開されてしまい、イランの諜報当局から追われる立場に。更にパキスタン経由でアフガニスタンへ侵入しようとしていたので、パキスタン当局も各国へ「売る」為に主人公を確保しようと活動を開始する。通訳として雇われたアフガニスタン出身・・・というよりも内戦により家族を殺され難民として家族とともに国外へ脱出した・・・男性とともにイラン、パキスタン、パキスタンと協力関係のタリバン、様々な勢力から狙われ襲撃される事に。
一般的なアクション映画だと、イランもパキスタンもタリバンも、悪役として描かれてしまうのでしようが、この映画ではイランは国内外に対して弱みを見せる事はできず、虎の子の核施設を破壊された復讐心に燃えていますが、その一方で主人公を追う諜報機関の指揮官は家族思いで、冷静に仕事と向き合う、どちらかというと同情できる人物像として描かれています。
パキスタンはビジネス的で、現場工作員もこの任務を踏み台に再配置を望んでいる感じ。タリバンの地方組織とパイプを持っていますが、高圧的ともとれる。
そのタリバンの地方組織では長老たちに交じって英語ができる若い野心的な男性が混じっていて、パキスタンの協力で組織内での影響力を増そうとしている。国外に脱出(彼の視点からは逃亡)した通訳の男性を裏切者と罵り、外国人である主人公に対するよりも遥かに強い憎悪を見せる。
また巻き込まれただけの通訳の男性にも憎悪や悲しみに満ちた過去があり、そして群雄割拠で油断のならない、信義とかよりも利益が優先される地方アフガニスタンの状況が描かれています。
アクションや描写は、まあこうはならんよな、とか、こういう事はしないよな、というのもいっぱいありましたが「アクション映画」なので、そのあたりはスルーで。
善悪をはっきり描くものではなく、それぞれの登場人物にそれぞれの事情があり(それがたとえ金銭欲であったとしても)、単純な善悪では描かれていないところが好みでした。