pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

腑に落ちた

 いやね、採算とかコストの面から考えると、中国が空母を建造、運営する意味は、ほぼない。航空母艦って防衛というよりも遠征する為の兵器に近いし。貿易路を守るという点でも全海洋に展開しているアメリカ機動艦隊に外注した方がコストから言えば断然良い。空母一隻だけでも船を動かす乗員のみならず、航空甲板で離着陸できる高い技量を持ったパイロットを育成、維持しなければならないし、空母を守る為の補助艦艇を配備しなければ、折角の空母も撃沈されてしまう。

 台湾を攻撃する為に必要か?って言うと、台湾海峡を渡るだけなら過大な戦力と言わざる得ないし、んぢゃなんで?見栄なの?と思っていたのですが、この本読んで腑に落ちました。

 

 東アジアにおいて圧倒的な国力=軍事力と富を抱え込んできた中国は、自身を中心とする世界観で近代まで過ごしてきた訳です。もちろん何度もその覇権は挑戦を受けてきましたが、古代ローマのように滅亡、断絶を意識せず、何百年スパンであろうとも外側は復活を遂げた中華帝国の歴史は今日まで続いています。現在の中華人民共和国すら儒教から共産主義やら毛沢東語録に経典変えただけの『中華帝国』と看破された方がいて、なるほどーっと納得したものですが、まさか現在でも中国を中心とした『天下』『天朝』意識が、たとえご本人の漢民族が否定しようとも伏在している(ように感じる)とは思いも寄らなかった。

 2000年代まではそこまでの『力』がなかったから意識しなかったでしょうけれども、2000年代以降、経済力で世界第二位になった事は、かつての『中華帝国』の力を取り戻したと判断し、現在の世界秩序に挑戦する気持ちを持たせたのかも知れません。力を持ったと感じたら、何処まで自分ができるか、と試したくなる。宇宙開発への進出もそうですよね。ただそれが採算が取れる持続的なものとなるのか、ただの見栄で終わるのか、微妙なところ。『中華帝国』の看板って見栄でできているよなぁと思う時がママあるし、百年弱で体裁が取れなくなるのがほとんどだし。

 こういう自尊心というのは、一度きちんと敗北を経験しないと治らないものだと、第二次大戦で徹底的に敗北して現在がある日本人としては、思いますけれども・・・きちんと敗北を感じるって・・・ああ、悲惨な事しか思いつかないからアカンわ・・・

 も一つ。

 

 考古学と文献から明らかになった古代ローマ人の危機管理ですかね。ほとんど自己責任の世界なので、それで税金が比較的安かった、という感じなのですが、水害対策が堤防ではなく、住居のかさ上げで浸水をやり過ごすとか、あ、そういう風なんですか、と思ったり、公衆衛生上、多大な貢献をしたと思われる大浴場も最初はやべぇ代物で、温水の管理とかがアレなので下手したら雑菌の温床になっていただろうって話もあって、なるほど古代ローマばんぢゃいと言う訳にもいかないのだなぁ、と。大浴場が名実ともに『健康的』になるのはトラヤヌス帝期以降らしいですぜ?