pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

連休中に読み終えた

 解説を書いていらっしゃる方が名前を知っている方だったので読んでみました。

 

 ハインラインだっけ?邦題で『宇宙の戦士』という、古典SFがあるのですが、それのバージョンアップみたいなの、という感じでして、はい、解説の方のおっしゃる通りでした。

 遥か未来で、銀河系に人類が生存圏を拡大し、複数の政治勢力に分裂している時代。些細な交通違反を犯したばっかりに、海兵隊に『強制志願』させられた青年が、経験を積んで一人前の海兵隊員になっていく、って感じなんですが、面白いなと思ったのは正体不明の異星人との戦争中なのに、市民生活に危機感も逼迫感もないってこと。日本の作家ならピリピリした空気やら、絶望的な後ろ向きな登場人物の気持ちやら描いたりするのでしょうけれど、アメリカの作家にとって戦時中と言っても市民生活が圧迫されるというイメージが湧かないのかも?と思ったりしたり。

 戦況自体は十年も続いており、侵略されて人類側が億単位で虐殺されたりと、戦場にされた惑星は悲惨というより壊滅的な状況だし、戦況は厳しい。主人公の初陣は初心者ラッキーで敵を倒すも、全体の作戦は、どうも上層部の判断ミスで失敗。その敗北を(なんせ海兵隊の半数が殲滅されている)隠蔽する為に、主人公の手柄もなかった事にされたりと不条理を味わう事になります。おまけに人員不足を理由に任期(彼の場合は刑期と言ってもいいかも)を勝手に延期されてしまうのですが、今一つ危機感が感じられないのですよ。彼の故郷が後方の惑星で戦争が別世界と事として感じられているせいなのかも知れませんが、そういえばアメリカの人って自分の住んでいる地域に爆弾が落ちてくるとか、そういう状況って南北戦争まで遡らないと戦時中の事にはならないのかも。

 逆にテロとかで戦時中でない方が爆発物の危険とかあったりするのかも。

 あとは視点が徹底してある海兵隊員である主人公目線なので、その範囲の描写しかなく、厳しい訓練や志願兵たちから受ける差別(刑罰による徴兵は下に見られる)、戦場で仲間や上官が戦死していく様、敵異星人であるケンタウリ人との数は少なくとも圧倒的な戦力の差。そういうところは良く描写されています。一般人目線なので、全体の戦況も、味方となる人類側の状況も良く解りませんが。

 著者のお一人が海兵隊出身らしく、その体験が反映されているのでしょうかね。アメリカでは十五巻も関連図書が出ているそうです。日本でも続刊されるのでしょうか?なんせ主人公はようやく二等兵上等兵になったばかりなのですよ。できれば続刊して欲しいなぁ。