pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

こっちも忘れないうちに

 この件に関して自分は、この方の解説が一番バランスが取れていて、かつ解りやすいと思うのです。

 

 終結していない戦争、しかも外側から得られる情報のみでの分析なので、途中経過なのですけれども、どんな経緯で戦争に至り、現状、少なくとも執筆を終えられた九月末までの戦況を分析していらっしゃいます。

 動画とかで別の戦況情報とかも見ているけれども、比較的抑え気味の動画を選んでいるつもりでも、やっぱり人に見てもらわなければならない動画は、人目を引くように作られているので、一歩引いた目線で小泉さんに開設されると、そこまで大げさでもないのかな、と思ったりもします。

 この本で分かった事は、ロシアのプーチンは、ウクライナのゼレンシキーに対して政治的に優位に立っていた、という事。ゼレンシキーという人、なんとなーく大統領になれた経緯が、芸人が大統領になるコメディ映画で主役を演じて人気が出たから、半ばノリでほんとに立候補したらなれちゃった、みたいな気配がします。つまり強固な地盤とかはない。んでロシアに占拠されたクリミヤ半島や東部の問題を話し合いで解決する事を公約していたけれども、国境に軍事力を展開して圧力をかけるロシア側に対して譲歩しかできず成果があげられなかった為、支持率は低下していた。つまり選挙で選ばれた政治家としての指導力は低下していたという事で、このまま次の選挙で親露派、あるいはそれに近い政治家を大統領に当選させる、議会で多数派を占めさせる事ができれば、無血でロシアの究極の目的であるウクライナ併合もできたかも知れないのです。

 ところがプーチンは侵攻を選択した。この選択に対する合理的説明が現段階ではできないと小泉さんは述べておられて、国内右派に対して軍事的勝利を示す必要に迫られていたのか、もしくはプーチンの個人的野心からなのか、まぁ判別できないと。確実な事は西側情報筋からロシアの攻撃は確実に行われる事をウクライナ側が知っていて、その為の対策を行っていた、ということ。そして逃亡を勧められたゼンレシキーが首都で踏みとどまり、徹底抗戦する姿勢を『自撮り』でアピールした事で、彼の政治生命が復活してしまった事ですか。

 ロシアが侵攻を開始した時、ちょうど自分はアフガニスタン戦争の本を読んでいて、旧ソ連軍によるアフガニスタンの『斬首作戦』についても知っていたので、空挺部隊によるキーウ近郊の空港制圧なんて、これ、まんまぢゃね?とか思いましたね。あと『プラハの春』とか『ハンガリー動乱』とかを制圧した手法によく似ているし。

 ただ前例は備えのない小国に対しての奇襲であったのに対し、ウクライナ旧ソ連共和国では第二位の軍事力を持ち、西側情報筋から警告を受けていて、ある程度の備えがあったこと。ロシアはウクライナ諜報部に対して切り崩し工作を行っており、後方の首長とかも多くはサボタージュという形でロシア軍侵攻を助けたけれども、大勢を決するほどの寝がえりではなかったということ(ヘルソンと原発のある町は確実に内通者による寝返りで占拠できたらしいけれども)。

 装備で勝るロシア軍に対し、地の利と兵力で勝るウクライナ軍は西側に対して戦車やミサイル、戦闘機などの重装備支援を要求しますが、第三次世界大戦エスカレートする事を恐れる欧米は重装備支援を躊躇していたこと。しかし踏みとどまり善戦し続けるウクライナ軍を見て潮が変わり、少数供与した兵器を効果的に使いこなした事で信頼した西側が重装備供与を徐々に増やした事から九月の劇的な反攻があったという事ですかね。

 現在ロシアは無差別にウクライナのインフラ攻撃をし、それに対してウクライナは自力でロシア国内の軍事施設を攻撃する手段を持ちつつあるようです(んでも情報が少ないし、まぐれ当たりの可能性も否定できない)。

 これから冬が厳しくなり、これが戦況にどのように影響するのか判りませんが、言える事は、ロシアの組織的な無差別攻撃は非難されるべきであるし、追及され裁きを受けるべきであること。武力による侵略行為は、どんな国であれ高くつく、という事を今、ここで示さなければ台湾、あるいは朝鮮半島有事、または日本列島に直接攻撃を受けた時、戦い続ける事ができなるなってしまうという事ですかね。シリアやコーカサス諸国でロシア軍どんな蛮行をしていたのか、漏れ聞く限りでしか知らないけれども、やったもん勝ちと思っている事は間違いない。

 だからロシアは、ひどい目にあってもらわないと、今後の世界が怖い事になるとか思うのです。

 あ、いつもの倍近く書いてしまった。やってしまったなー・・・