図書館への返却が明日に迫っているのに、借りて未読の本があと一冊あるのですよ。小説だから一日で読めると思うけど、その焦りで興味の薄い部分は流し読みになってしまいましたが、まぁ読みたいところは読みました。
現在のシリアの首都が置かれている都市ですが、ここも紀元前何百年・・・千年?ぐらい前から人が住んでいた場所です。連休前に読んだアッコンが北部シリアなら、こちらは南部シリアの中心地。ラクダの家畜化とともに砂漠越えの交易路が設定されて、その中継点みたいな感じになり発展。川が側を流れている為、立地はアッコンよりも住みやすそうです。
ヘレニズム、ローマ時代から主要都市として存在しましたけど、やっぱり存在感が出てくるのはイスラム時代に入ってからですかね。ウマイヤ朝カリフの首都になりましたし。しかし百年弱でウマイヤ朝が倒れると、軍閥国家の首都って感じになります。
次に注目されるのが十字軍の時代。イスラム反撃期にザンギー朝、アイユーブ朝の中心地のひとつになり、モンゴルの襲来は・・・アッコンはひどい目にあったんだっけ?ダマスクスはそれほどでもなかったんだっけ(オイ
マムルーク朝期は東の中心地。オスマン朝期はシリアの州都。んで第一次大戦後は独立の約束が保護されてフランス統治になり、キリスト教徒優遇ってレバノンでも見たな、そういうの。第二次大戦はヴィシー・フランスと連合国側と翻弄され(エジプトを起点に連合国のオーストラリア軍が、ナチス・ドイツ傀儡のヴィシー・フランス側を駆逐したらしい)、戦後独立するもイスラエルが引き起こす戦争で酷い事になる、と。
近代の激動が起こるたびに難民がシリアを目指す、という図式が繰り返され(トルコがトルコ人以外の少数民族を追放したり、イスラエルがパレスチナ人を追い出したり、そういう感じ)、独立してもアイデンティティの確立に苦しんでいる。現在十年余り続く内戦も、そういうアイデンティティの模索と独裁・・・富裕層とそれ以外が乖離していて固定化しているというのも原因なのでしょう。
口絵の写真で美しいダマスクスの建築物が紹介されているけど、さてどれだけ写真のままに残されているのかなぁ。問題解決は遠いようです。
講談社学術文庫って復刊文庫ってイメージがあったのですが、巻末見てやっぱり、と。初刊は1994年。著者は没していらっしゃる。だからだいたい知っている事をなぞる作業でしたが、著者の専門が美術史なので、フィレンツェの美術品の解説、鑑賞に多くを割いている感じ。大半流し読みでしたが、ミケランジェロの憂鬱みたいな部分は初めてかも。
傲岸不遜なイメージのあるミケランジェロですが、反メディチ側の司令官(土木建築の知識もあるので籠城戦の指揮官になっていたらしい)であるにも関わらず、フィレンツェ陥落時に知人に匿ってもらい、メディチの墓所を完成させる事を条件に助命されたミケランジェロは、後ろめたさ、罪悪感に悩まされたようです。苦悩するミケランジェロ・・・どうしても教皇ユリウス二世とやり合いながら作品を完成させたイメージがあったので、自らの行為に後悔するミケランジェロって新鮮でした。
結構新しい事が知れたなぁ、と。