pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

そういえば読んでいました。

 これです。

 

  『明治維新』の『偉人』という存在に、尊敬というか、崇敬というか、そんな気持ちを持った事がないので、余計にそう思ったのかも知れないのですが、読後の感想は『過酷な人生を送った、当たり前に有能な人』というもので、時代を超えた偉人というイメージはなく、どちらかというと『時代の子』という感じです。

 下士出身で島津斉彬に見いだされ、側近となり、薩摩藩の為に尽くすも、世子夭折、斉彬死去によって人生暗転。その後復帰しますが、薩摩藩の実験を握る島津久光とは折り合いが良くなく、警戒、または嫌悪されるという・・・

 好き嫌いがはっきりしており、戦好きで情に脆い・・・って、うわぁ、苦悩を背負う事、必定の性格。

 彼が評価されるのは、江戸城無血開城交渉と、庄内藩降伏に際して意外なほどの恩情を示した事により、情に深い人物であり、長州藩が降服した、因縁のある会津藩に最後まで過酷な運命を背負わせた事との対比になって「薩摩はいいが、長州は許さん」という風潮にもなったようです。

 とはいえ彼自身に先見の明はなく、最後まで封建社会の人間でして、後輩にして盟友の大久保利通に比べれば、西南戦争で敗れるべくして敗れた、といえるかも知れません。軍略家としても有能だけど卓越しているとは言い難い。

 死後によってイメージが膨らみ、『偉人化』した人物の典型と言えるかも知れません。その意味では『偉人』とはなるものではなく、つくられるもの、なのかも知れませんねぇ。