pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

読み終えました。

 これです。

 

ギリシア人の物語 III 新しき力

ギリシア人の物語 III 新しき力

 

  古代ギリシアペロポネソス戦争後から始まっています。敗北して全ての自信と実力を失ったアテネ。戦争には勝ったけど何かを作り出す事の出来ないスパルタ。そんなスパルタに実力以上の力で挑み一時的に覇権を握るも、国を指導する指導者層、国力の薄さから失速してしまうテーベ。

 混乱の巷になったギリシア社会の北側に『蛮族』とも言われていたマケドニアに、変革者とでも言うべきフィリッポスが現れ、二十年余りでマケドニアギリシアの覇権国にします。そしてスパルタの妥協によりペルシア帝国支配下になってしまった、エーゲ海の東側にあるイオニアと呼ばれるギリシア世界の奪還を宣言するも、事故ともいえる(痴情のもつれが原因とも)暗殺によりフィリッポスは死亡。

 後を継いだのは若干二十一歳のアレクサンドロスでした。十二年余りの業績で大王と呼ばれる事になる男です。面白かったのは彼の能力ばかりでなく、性格からも整合的に彼の行動、なした事が説明されており、自分の中の支離滅裂なアレクサンドロス像が整理され、像を結んだようになります。

 彼が現代に至るまでヨーロッパや中東において大きな影響力を持っているのは、特にバルカン半島やら東地中海限定の文明であったギリシアに普遍性を与え、後のローマと継続性のあるものにした、という事にあるのかも知れません。ちなみにヨーロッパも中東も、そういった意味では互いにギリシア・ローマ文明の後継者と考えている節があります。

 塩野七生さんの作品群では年代的に最古になるこの時代を、最後の歴史エッセイに据えたのは、このアレクサンドロスの爽快感、解放感、そして夭折と言ってもいい最後でもその後の歴史に与えた明るい展望から、なのではないでしょうか。

 発刊から一年半過ぎて、ようやく読むことができました。塩野さんは読者に「グラツィエ・ミッレ」とおっしゃいますが、こちらこそ感謝したいです。読書量に反比例するかのように、再読率が低いアタクシですが、塩野作品はどれも二度以上は読んでいるのです。自分にとって再読に耐える作品と巡り合えるのは、年に数回、あるかないかなので、これだけでも感謝したい。

 本当にありがとうございました。これからも読み続けさせていただきます。

 ってまとめればいいのにねー。

 

人形の国(4) (シリウスKC)

人形の国(4) (シリウスKC)

 

  打って変わって絶望的な超未来世界ですよー。世を拗ねた男が強大な力を手に入れ、主人公は休眠状態。はてさて皇帝の次の一手は?三つ巴の関係が次巻から始まりそうです。どうなるのかな?半年後が楽しみです。はい。

 って書いておかないとね、この本を本棚に収められないからです。