pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

『残響のテロル』

 見終えました。

 

  見始めて感じたのが、知っている声優さんがほぼいない・・・まぁ、そんなにかじりつきでアニメを見なくなって久しいので当たり前ですが、終盤になって森山周一郎さんなんか発見すると嬉しくなりました。

 サバン症と言われる、一芸は超人的だが、その他は社会に不適合な人たちのネタって、結構あるのですが、それを幼い孤児の段階で選別し、薬物投与、教育して、次々に不適合の子たちが処分されて、生き残った三人のうち、二人は脱走。一人はアメリカの諜報部やら何やらに拾われていき、そして十七歳になった頃の夏、脱走した二人が『テロリスト』になって日本社会を謎かけと『爆弾』で脅かす。しかしそれはある目的の為の手段だった・・・という内容。

 途中で二人を追跡する側で登場するハイブという少女。担当された声優さんが「恐怖ではなく可愛らしさ」を出したいと言われた意味が、十話まで解りませんでした。ようやく理解したのは自らの余命が長くない事を覚悟しているハイブが、そろそろ最後の発作なのかと理解した時、幼い頃から『ゲーム』をし、一度も勝てなかったナインを「私のもの」と言い続け、そしてFBIの管理官を射殺して自らも焼身自殺してしまった瞬間理解しました。

 ハイブはただナインと『ゲーム』を楽しみたかった子供なのだと。『ゲーム』というには余りにも逸脱して、人死にが生じないよう最新の注意を払いながら爆発テロを行っているナインたちに比べて、人の生き死になど問題ないように振る舞う彼女はイカレているように見えるのですが、それも子供故。ナインなら人死にが出ないようかわすだろうという『甘え』というのか『信頼』みたいなものが彼女にはあって、だからハイブは『子供』であり、それ故の『可愛らしさ』なのだと理解しました。

 可愛いとは思えませんでしたが(スマナイ

 結局のところ薬物投与で不自然な形で作られた『天才』の寿命は短く、三人は三人それぞれの死に様を見せる事になります。救いは、そんな彼らの生き様、死に様を目撃した、流され虐められ人生を送っていた少女リサが、それなりに逞しく生きているラストシーンが描かれているところですかね。

 あと、警察の人間として、『テロリスト』側と謎解きを通して交渉していた柴崎という刑事が、そんなリサを、そして彼女と同じく彼らの墓を見守っている事が、ちょっと胸にきましたね。

 こういう『一夏の喧噪』って青春ものとしては押さえておくべきですが、単純な恋愛ではなくて、人間ドラマとして見せられると、自分はグッとくるのです。

 たぶん映画『海獣の子供』も、そんな物語の筈なので、いずれ見てみたいものです。

 夏に見てよかった。