pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

昨夜も失敗

 エアコンの事です。除湿にして肌寒くて悶々としたあげく、一時間後に布団をかぶりました。決断が遅かった。いつもそう。だから今朝も寝不足。

 でも読了したものはあります。

 

  前巻で士官学校に潜入して「どーもシステムを操られているくさいから、それを調べてくれ」と言う依頼を受けて、まぁ『興行』宇宙海賊とか、人死にでない荒事とかやっている娘たち(プラス軍人あがりだったり銀河の半分で一番の腕扱きハッカーだったりがバックアップしている)なので、士官学校内での成績も上位に食い込むほどなのですが、今回は卒業生と現役艦隊の模擬戦、卒業作戦みたいなものに参加し、そのシステムを操っているらしい者の尻尾ぐらいを掴んだところまでのお話でした。一応契約はそれで終わったらしいです。一応上位数%の成績を収めた主人公たちは本格的に士官学校で学ばないか?と御呼ばれがありましたが、「こんな規則正しい職場、無理!!本業に差し障る」という理由が却下。それが惜しいからって士官学校は休学扱いで、時間ややる気があったら戻っておいでみたいな話。これ、のちのち拾う伏線かな?笹本さんだからなぁ。

 今回は模擬の星系攻防戦でしたが、私は笹本さんの宇宙艦隊戦が一番好きです。模擬戦とかギャグとかが多くて人死にや星とか世界とかの命運は関わってこない。力まかせ数任せな描写が少なくて登場人物たちが、ヒイヒイ言いながら脳髄絞って参加している(実際は著者がヒイヒイ言っているのだろうけれども)。そして『名将』とか『天才』とかってワイルドカードな描写が少ない。だから先がどうなるのかドキドキしちゃいます。『名将』とか『天才』って有能なキャラのタグみたいなものだけれども、それがつくと勝って当たり前な、なんか安心感みたいなものが出てしまって、あんまり、ねぇ?

 今回も主人公たちは、率先してアイディアを提案したり実行したりしていますが、たまたま、とか、誰かが思いつく、とか、決定過程で時間がロスされるから、ズルして実行しないと手遅れ、とか、そういう描写が多くてでしてね、割と能力的に大差のない集団で、その時の判断、決断のスピードだけが主人公とMOBとの違い、というところがいいのです。

 自分が『名将』とか『天才』という称号が、現在進行形ではなく、全てが終わった後につく結果論的なものだと思っているからでしょうか?だから『天才』とか『英雄』とかを待望している間は、そんなものなど出てこない。凡人がヒイヒイ言って、脳髄振り絞って、それが結果的に成功した時にしか『天才』とか『英雄』とかは生えてこない、と思っているから、そういう文章が好きなのでしょうかね。歴史とか読んでいるとね、最初から解答の解っている人なんていないんだなーって感じますもん。失敗とか試行とか山ほど繰り返した挙句でないと『天才』なんて現れない。ユリウス・カエサル古代ローマが生んだ唯一の創造的天才とはモムゼンとかいう歴史学者の言だっけ?しかしその彼がローマ帝国の事実上の始祖足りえたのは、彼が登場する以前のローマ史の中で、山のような失敗と抗争、血と涙が流されていたからであり、カエサル自身もライフワークとして融合した敗者の効率的な融合化、領域と防衛ラインの確定、政策決定のスピード化を考え続けたからこそ、四十歳で史上に登場した途端、まるで彼を中心に地中海世界が回りだしたかのように、矢継ぎ早に効果的な政策を打ち出し、政争、戦争に打ち勝っていきます。試行錯誤に費やした時間と内戦への嫌悪感が、もちろんカエサル自身のセンスも相まって、彼にああいう『仕事』をさせたと思うのです。

 だからね、自分が頑張らない人だから、頑張る人を見るのが好きなんですよ(それはどうなん?