pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

読み終わった本はないです。

 なんか日中にツイッター上で熱いやりとりをしてしまったので、ちょろりと考えてみたのですが、現政権を『独裁』と非難する人が結構いますが、そもそも『独裁』の定義って何なの?現政権が選挙に敗れて過半数割れしても強権発動して政権維持し、野党をことごとく非合法にして政治活動できないように解散させ、公安に監視させて逮捕させる法律とか制定したら、そりゃ独裁でしょうが。その辺弄ってないですよね。

 議会で過半数を取った側が会期を理由に議論を打ち切り、採決を取ってしまうのは横暴と非難できますが、時間が有限ではないのですから、そこまでの攻防で何とかするのが野党の役割ではないのでしょうか?国会をボイコットする戦術は納税者からすると、給料ただどりかよ、としか思えないのですが。

 もちろん野党が建設的な議論を応じない理由は知っています。とにかく反対という声をあげる事が解り易く、与党との対立構造を演出しやすいからですが、大正時代にそれをやり国会が空転。政党政治に対する国民の失望が国家社会主義の台頭を許し、所得の低平準化(皆で貧乏になるって事だよ)で平等感を演出し、戦略的展望の欠乏が泥沼の戦争へ導いた事は、つい八十年ほど前の事です。

 つまり野党は批判の為の非難ではなく、建設的な対抗策を講じなければかつての悪夢を繰り返すだけという危機感を持ってもらいたいのです。

 あと、安倍晋三という人が左巻から蛇蝎のように嫌われる理由は、ご本人の保守姿勢のみならず、尊敬する人物に『昭和の妖怪』岸信介氏を挙げている事にも一因があるように思えます。外孫としては著名で日本近代に(良くも悪くも)足跡を残した人物として尊敬する気持ちも理解しますが、何しろ評価が・・・ねえ?戦犯から政界に復帰したのはご本人の希望というよりも状況のなせる業だったと思いますけど、細かい事情を知らん人間からすると日本を破滅に追いやった一人が戦後隠居するならまだしも、政治家で首相になるだと?って事だけでバイアスがかかっちゃって、そらね。

 自分個人は岸信介という人物に良いも悪いも感じていないです。戦後のアメリカ植民地状態を何とか独立国に近い形にしたいと悪戦苦闘した事実は知っていますし、六十年代の安保闘争が、だいたいファッションであったと理解しています(お上に逆らうオレ、というのが格好良いというやつ)。そして現在の日本がもし戦争に巻き込まれたら、交戦権がないのですから戦うこともできずに蹂躙される恐れがある事を知っています(臨時特別法みたいなので乗り切る方法を持っているかどうか知らんけど)

 子供のころは『平和憲法』は日本のアイデンティティであり、持っている事が武器である、とも思ったものですが、現実に武力を行使され蹂躙された時、はて、役に立つのか、というと、まぁ立ちません。一撃を凌いだ後に日本の正当性を担保するぐらいなもんです。交戦権がない国に、他国からの攻撃を凌ぐ攻撃ができるのか?というのも疑問ですけど。

 卑怯な書き方ですが、ノンポリの日本人としては、消去法で安倍政権が支持されているだけだと思っています。アタクシ個人も自民党支持者ではありませんが、他の政党、野党を支持する理由もない。安倍政権に対して政策的な突っ込み、矛盾を指摘し別のビジョンを与え、それが整合性、合理性を伴ったものなら、そちらを支持するかもしれません。ファナスティックに反対とか非難とか、そんな言葉は聞き飽きているのです。

 あ、ちなみに田嶋陽子さん(だっけ?)が米軍不在の日本に中国軍の進駐を頼むのは「ありうる」とか発言したのは、そういう選択肢もある、という意味で私は評価します。韓国の動向に目が向きがちですが、この北東アジアと言われる地域は、大陸側勢力と大洋側の勢力が綱引きしている場所であり、どちらの勢力につけばより国を守れるのか?というのが、この地域の国々の問題意識なのですから。

 もちろん米国と中国、どちらを選択するか?と言われたら、中国よりも米国の方がマシ、と答えざるを得ないのですが。新たな冷戦構造っていうけど、ソ連が資本主義へのアンチテーゼだったのに対し、中国のそれは、風通し加減の悪い資本主義としか見えず、それに比べればアメリカの方が多少はマシと思える、ある意味地獄の選択であるのですけれども(ソ連の時はあっちが社会福祉で先行していたから、西側も社会福祉を充実させる圧力にこたえなきゃならなかったもの。その為に財政難になっているのですけれどもネ。ま、政治的にディストピアちっくなソ連も地獄の選択だったかもしれないけれど

 あ、長くなったけれど、もう一つだけ。古典ギリシアで最も上手く民主主義が運営されたのがペリクレス時代のアテネ、と言われているのですが、ペリクレスの時代は同時に、そうとは見せない『独裁時代』でもありました。ペリクレスという男は民衆に選択肢を与えますが、必ず自分の政策を選ぶように誘導しています。そして政策は成功する場合が多かったので、ギリシア市民には不満が少なかったと。政治家は、有権者は気持ちよく騙されたがっている、という側面も理解すべきです。