pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

新九郎、まだ助走中

 仕方が無いね。『応仁の乱』は新たな段階になったばかりだし、姉ちゃんは嫁いでいった直後だし、兄ちゃんはグッバイだし。

 

新九郎、奔る!(3) (ビッグコミックス)

新九郎、奔る!(3) (ビッグコミックス)

 

  それにしても、これって領地が横領される伏線なんぢゃないかしらん?というエピソードが挟み込まれていましたね。外伝ですが。父方の祖父さんも、もうちょっと考えてやれば良かったのにね。新九郎の兄八郎貞興は推測病死となっていますが、こういうエピソードにしてしまうってのが、ゆうきまさみさんのストーリーテーラーたる所以ではないかなぁ、と。んでもって領地のある備中へ、備後に入る山名是豊の後詰めとして出陣ですか。確か是豊くんはこのあと・・・いや、まぁ次巻が楽しみですネ。

 そして文章ものの時系列へ。

 

六角定頼:武門の棟梁、天下を平定す (ミネルヴァ日本評伝選)

六角定頼:武門の棟梁、天下を平定す (ミネルヴァ日本評伝選)

 

  珍しいです。六角定頼の評伝。この人の名前は『信長の野望』の信長誕生シナリオあたりで見かけて、無能パラメーター揃いの六角氏において、なんでこんな有能武将が?と驚いた事を憶えています。まぁ管領代と称されて足利義晴を支えた大名ですからね。

 父親は応仁の乱後、横領が酷いと幕府の奉公衆、つまり将軍直臣が訴えられて、将軍義尚、義材に攻められ、没落したと見せかけて復活した粘り腰の六角高頼。兄氏綱が早世したので僧侶であったのが還俗して大名に。

 当時の室町幕府は、在京前提の守護たちが領国に下っていてほとんどおらず、ほぼ唯一いたのが細川京兆家で、これが将軍を支えていたのですが、当主細川政元が暗殺されてからは阿波守護家出身の細川澄元系と備中守護を務める野州家の細川高国系に分裂して相争う展開。軍事的には優勢なのは阿波守護家でしたが、細川高国は、西国一の大名大内義興明応の政変で追放された将軍義材(この時は義植・・・ってノ木偏のね)を奉じて上洛。これと同盟し、その軍事力を背景に澄元を倒し管領になります。

 んが、本人の軍事力はそれほどでもなく、大内義興が本国に下がるとたちまち不安定化。義植とも不仲になり、彼が出奔した後に義澄遺児、義晴を引っ張りだして将軍にします。それを支える人が六角定頼で、大内氏に変わる軍事的な後押しとなりました。

 しかし高国は澄元の子、晴元側の攻撃を受け支えられず敗北、隠居。定頼は晴元と婚姻関係を結び、これを支える事になりますが、この晴元も器量不足か、何なのか、自身配下最大の軍事力である三好一族を一向一揆を嗾けて滅亡寸前に追いやるし、その一向一揆にやれらそうになるので、今度は法華宗一揆と組んで当時山科にあった本願寺を焼き討ちするのですが、次は法華宗が手に負えなくなるという為体。

 姻戚関係からこの晴元を支え続けた六角定頼は、ついに足利義晴の幕府より晴元よりも頼りになるとばかりに意見を求められ、そうしているうちに頼りにならない管領晴元の代わりに足利義輝の烏帽子親になるという栄誉。あ、将軍嫡子の烏帽子親は管領が務めると決まっていたそうです。

 定頼にしてみたら狙ってやった訳でなく、当時畿内近辺でもっとも安定した勢力であったから結果そうなった、という事ですかね。この人も自身が戦場に赴くよりも、周辺の情勢を有利に動かして、結果勝利を得るという陶興房型の武将ですね。

 彼の死後も六角氏は幕府にとって有力な大名であり続けますが、孫の義弼からおかしくなる。父親義賢に何度も叱責されています。どうも周囲に相談しないで実行に移してしまうタイプの人間らしく、信用を失ったところへ足利義昭奉じる織田軍と激突。調略が進んでいたらしく、勝負は呆気なくつきますが、しかし六角氏にしてみれば、高頼の代同様、潜伏しゲリラ戦をし再起を図る心づもりで、現に三好勢と本願寺足利義昭方を追い詰めた時はチャンスでした。ま、失敗したのですけれどもね。

 著者は三好長慶が『天下人』なら、六角定頼も『天下人』と言っていいんぢゃね?と主張しています。京都周辺の治安を維持し、支配した者を天下人というのだから、まぁ広意義では天下人かもしれませんね。

 それよりも著者の書き回しが・・・「一向一揆は化け物か」とか「あえていおう、カスであると!」とか見ると、ファーストガンダムスキーである可能性が大。そしてアタクシと同い年であると知って、あ、これはほぼほぼそうだわ。と思いました。

 この時代がそういう歳になったという事ですネ・・・知っていたけど。